第9話 とりあえず町に行こう。
「——おっ?あれは――町か?町だよな?」
起きたところから少し適当に歩いていると、丘を越えた先に町が見えていた。小さいが人影もある気がする。
「これは――まるで来いというか。ゲームで言えばあれか。今はチュートリアル言うのか。動作確認中で、少し歩くとはじめの目的地――ってそんなことはないか。俺死んだから――あの町で天国か地獄か選んでもらうのか?」
目の前の光景を見た俺はそんなことをつぶやきつつ。町らしきものがある方に歩き出した。
さてさて、ここが死後なら天国、地獄どっちに振り分けてくれるんだろうな。またはどこで俺は目が覚めるかなぁ。とか考えつつ進んだが町に着くまでに、俺が目覚めるとかいうことはなく。普通に歩き見えていた町へと到着したのだった。
町の外れにさしかかるとどうやらこの町は中規模くらい。そこそこの大きさ。人の居る町らしく。普通に建物があり。普通に人が居た。
だが。少し前まで居た現実って感じはなかった。建物こそまだなんか見たことある感じだったが……近代的。今まで俺が見ていたような建物ではない。ログハウスと言った方がいいのか。でも田舎の町といった雰囲気ではない。高い建物はなく。ひと昔前みたいな感じというのか――。
あと、周りを見れば武器を持ったり、鎧を着たり。魔女みたいな人も歩いている。また俺みたいなボロ布だけの人もいる。そうそうさらに耳が長い人や、ちょっと極端に身長が低いがしっかりした身体。筋肉?を持っている人が歩いたりしている。
いやいや、人以外も普通に居るんだが……死後の世界はいろいろ混ざるのか?っか、もしかして現実世界でも俺が見えてなかっただけ。または人が見えないだけで――多分なのだが。耳が長いのがエルフ。身長が低いのがドワーフだと思うが――そういう種族の人が普通に居たり――。
俺はいろいろ驚きつつ。また考えつつとりあえず町を進む。
「なんだ……ここ?死後の世界なのか――全く別のところか――」
俺はそんなことを呟きながら周りを見つつ歩く。
ちなみに、特に俺に対して周りの人は違和感がないのか。見られることは……あった、見てるわ。ちらちら見られていた。でも町がそこそこの大きさな感じだからか。ただ単に知らない顔がいると思われているだけらしい。
またはこの俺の服装が原因で見られている?一応隠すところは隠しているが。ってか、俺と似たような服装をしている人はいる。だから――やっぱり知らない顔が居るといった感じで、俺は見られているのかもしれない。ってか、このボロ布の服――頼りなさすぎるである。スース―するよ。まあちょっと開放的な感じもするが。でも――引っ張ったら即マッパのような気もする。服だけどこかでないかね。って、お金類が何もないから買えないか。いや、頼んだらもらえるとか?もしかして――願ったら出てくるとか?
(服出ろ)
「……」
歩きながら念じても何も変化なし。この世界の雰囲気なら。魔女みたいな人もいたから何か起るかと思ったが――特に変化なし。
(武器出ろ)
「……」
(装備変更)
「……」
そう簡単には――らしい。そして最後に闇雲に――。
(——ボックスオープン?)
――ㇲッ。
「!?」
何だろう?何かが起こった気がした。俺の周り何か今――開いた?と思い確認しようとした時だった。
「おい。そこのボロ布」
後ろからそんな声が聞こえてきて、俺が声の方を意識してしまったからか。何かが――と言う気配が消えた。ってか、これ結構大切なことだと思うが。どうやらこの場所の言葉は俺わかるらしい。ちゃんと聞こえたからな。問題なさそうだ。
俺はそんなことを思いつつ再度ボックスオープン?だったか。などと思い念じようとすると。
「ボロ布。止まれ!聞こえないのか?」
再度後ろからの声が先ほどより大きかったからか。俺の意識がまたそれて――って、ボロ布――ってか、あれ?もしかして俺が話しかけられてる?そんなことを思いふと自分の姿を再確認した俺は足を止めて、そして声の聞こえる方を振り向くと――。
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