第8話 さあ始まりました。

 状況確認。何が起こったのかわからず。俺は青空を見つつしばしぼーっと……。


「…………はい?」


 少し考えてみたが、マジで何が起こったのかわからない。何で俺は青空を見ているのか――これは……ついに俺は過労で倒れ。夢を見ているのかもしれない。今頃俺の身体は駅のホームに駆け付けた救急隊員の人たちによって運ばれて――もしかしたら人生初の救急車体験中かもしれない。

 なるほど、駅のホームに居たのに、いきなり青空。確実にこれは夢か。意識を失ったかズッコケた時に、打ち所が悪かったらしい。って、あと、なんか身軽になった?疲労感が全くない気がする。あと、夢の割にはいろいろ意識とかがはっきりしている気がする。手足の感覚とかは普通な気がするし。動かせる気もする。何かわからないから先ほどから俺は考えるだけで微動だにしてないが――。


 そんなことを思いながら俺はゆっくり手を動かしてみる。ちゃんと指も手首も動く。そして軽く足も動かしてみる。問題なく動く。首も動く。これは――身体は大丈夫そうと思った俺はとりあえず起き上がってみた。


 しっかり足で踏ん張ることが出来て、問題なく俺は立つことが出来て見ていた物が変わる。


「————なんだこれ!?」


 この俺の反応は、周りの景色に対してもなのだが。それと同時に目に入ってきた自分の姿に対してもだった。

 なぜが俺。ボロ布の服の上下なっていたのだった。ホントボロ布。なんかこんなゲームの設定。プレイヤーみたいなのを過去に見た気がする。ホントボロ布の服となっていた。

 雑巾みたいな汚れ方をしているタンクトップの片方がちぎれていて、あと普通に穴が開いているとでも言えばいいか。それと下半身に関しては、上半身と同じく。雑巾みたいな汚れ方をした――これはスカート?ちなみにめくってみると、丸見え。ではなく。こちらも雑巾みたいな汚れ方をしているふんどし?とでも言うのか巻いてあるだけにも見えるが――とりあえず隠されていた。これは良かったというべきか……。

 

 いやいや全く良くないな。なんだよこの状況。

 

 ちなみにだが、今の今まで俺はスーツだった。上着は脱いでカバンに――って、荷物あ何もない。周りを見ても、スマホ、カバン、上着。何もない。俺自身がこの場に居るだけだ。

 混乱しつつも周りも確認すると……草原だった。

 あれ?俺が居たはずの駅はどこいった?そもそもここどこ?

 俺はあたりを見渡しつつ。ちょっと考える。

 するとすぐにだった。とあることが頭の中に浮かんできたのだった。


「…………あー、なるほど、遂に俺死んだか。なるほど死んだらこうなるのか。うんうん」


 過労で死ぬ。


 疲れていたところに、躓きずっこけたら打ち所が悪かった。まあいろいろ予想しやすい状況にあったので、俺はすぐに理解した気になった。


 そして死んだと仮定して、再度自分の身体を見る。動かしてみる。足踏みをしてみる。感覚は自分の身体だ。そういえば足元も革靴から裸足になってる。だからか、痛さも感じつつも地面の土や石の感覚がよくわかる。ちょっと懐かしい。子供の頃なら裸足で駆け回っていたからな。久しぶりに直接足が土をかみしめている。


 それから俺は少し歩いてみた。歩けば……違和感なく。身体は動く。ホント普通に歩けた。不思議な感覚だ。夢または死後のはずなのに、まるで生きている。起きている時みたいだった。地面の感じ。身体にぶつかってくる風の感じ。ほのかに香る花の香り。すべてが問題なく。今まで通りだ。

 そうそうあと死んだはずだが――この場では俺の心臓もちゃんと動いているらしい。脈もある。そんな確認をしつつ適当に歩いていると、人工物らしきものを俺は見つけることになった。

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