第2章 欠落状態冒険者始動する
第7話 俺は始まりを知ることなく始まった
そんなことを思いながら、俺は再度スマホ画面を見つつ。これは完全に詐欺だ。詐欺だから。適当なことを書いて、これで登録したやつの個人情報を抜き取り。いろいろ請求してくるんだろうな。無駄な時間だった。気にするな俺。などと思っていると。
「まもなく――2番のりばに――23時01分発……」
ちょうど頭上にあったスピーカーから、アナウンスが聞こえてきた。アホなことをしていたら、乗る予定の電車が来る時間になったらしい。ちょうどいい暇つぶしと言えば暇つぶしだったのかもしれないが。無駄な時間だった。
俺は電車に乗るために立ち上がりつつ。見ていたスマホの画面を消そうとしたので、足元をちゃんと見ていなかったらしい。または過労でふらついたのかもしれない。立ち上がりつつ。メッセージ画面を消そうとしたら――。
――コツン。
「——なっ!?」
何かに足を取られた。ベンチの足だろうか?それともちょっとしたホームの段差?とにかく急なことに俺は何が起こったかわからず。触れていたスマホの画面は反動で一気に下までスクロールされていたが。俺は気が付かなかった。
詐欺メッセージの最後の文章を俺は見ることなかった。『————ここまで読んだ方は自動登録されます。私の実験に協力を感謝します。スキャンします。そのまま画面を見続けてください』そんな記載があったのだが。俺は見ることもなく。気が付いた時には地面が目の前だった。駅のホームでずっこける大人が完成——。
ぷぁぁぁぁぁぁああああ――。
しなかった。
けたたましい音が聞こえてきた。と、思った瞬間だった。
急に、気持ちいい風を俺の身体は受けていた。何の痛みもなかった。躓いてこけたはずなのに痛みが来ない。そもそも地面に身体がぶつからない。いや、ぶつからないは違うな。ぶつかっているが……?
「——あれ?」
再度俺は現状を思い出す。先ほど俺は職場の最寄駅のベンチから立ち上がり電車に乗ろうとしたら、何かに躓きズッコケた。だから今見えるものと言えば。地面。駅のホームだから……コンクリートかと思ったが。今の俺は青空を見ていた。綺麗な青空。
それと駅のホームでズッコケた奴が居るのに――周りが静かというか。みんな周りの人間なんて興味ないか。そうだよな。冷たい世の中――って、にしては静かすぎる。
そもそも青空?確か時間は夜だったはずなのだが。俺の目に映るのは青空だった。
意味わからんぞ?なんだこれ?
ズッコケたはずの俺、何故か青空を見つつ寝ころんでいた。いろいろおかしい。マジでなんだこれ?
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