第2話 社会の駒
ざわざわとしたいつもの場所。楽しそうな酔っ払いも居るが。基本皆疲れた表情をしている。まあ中には元気そうな人も居るが――。
ちなみに俺はというと間違いなく疲れた表情の方だろう。これは自信がある。元気なわけない。だって――。
「あー……疲れた」
ほら、声にも出しているよ。
俺はちょうど、ドサっと駅のベンチに座ったところだ。
今は仕事の帰り。毎日利用している駅のホームまでやってきたところだ。余談だが、今月はすでに13日連続でこの駅。そして何気に同じベンチを利用している。これはたまたま空いているだけなんだがな。
ちなみに仕事が休みの日にも利用したのではなく。全て仕事である。
社会人になって――何年だ?6年か?いや7年?まあそんなことはどうでもいいか。なんの為に働いているのかわからなくなり何年とでもしておくか。毎日毎日仕事だといろいろ考えるのも馬鹿らしくなってくるんだよ。
ボーっと遠くを見つつ余計なことを考えていると、ちょうど駅前広場にある大型ビジョンが目に付いた。距離があるので、さすがに画面は見えても、音声は聞こえないが。ちょうど映像は見えていて、多分ニュースなどが流れている。
これはいつものことだ。このベンチからはちょうど見えるんだよな。
何々――連続殺人事件犯人逮捕に――若者の連続行方不明のニュースや、海外では連続爆破テロ?なんかニュースが暗いというか。連続って言葉ばかり流れている。どうなってるんだ?明るいニュースはないのかよ。まあ自分に関係あるニュースは……か。あまりどのニュースにもピンとこない。ってか、そんな事を思いながら見ていたら、知ってる顔が突然画面に流れ出した。あれは――広告?だろうか。
年齢は忘れたが、多分40くらいの女性。独特の雰囲気というのか。って、これは俺だけかもしれないが。紫色の髪の人ってあまり見ない気がする。みんなの周りには居るか?あれ?俺は誰に話しかけているんだ?さすがに疲れがピークか。ヤバいな。えっと、なんだっけ?そうそう紫色の髪の女性。その人がなんで俺の知っている人になるかって?あの女性は、いつも元気、明るい女性で、俺の住んでいる町の市長だからだ。現在2期目だったかな?一応俺選挙だけはちゃんと行く。無駄に皆勤賞。選挙という選挙は忙しくても行っているんだよな。コツコツと。
なので、かろうじて市長の姿を覚えていた。ちなみに俺の住んでいる市では、初の女性市長やらやらで、初めはいろいろな声があったが――かなりのやり手だったらしく。市長が変わってから町はガラリと変わった。すでに3期目も見えてきたかかな。安定というか。古臭いことはぶっ飛ばし。新しいことをどんどん取り組んでいる。次は何をするのだろうか。俺は選挙には行くが、あまり行政、政治には興味がない。とりあえず――投票しに行った。という感じだからな。
でもあの市長は話すのが上手なのか、なぜか見てしまうというか。ってか、今大型ビジョンに出ているが、なんか大きな企業誘致をまたするらしい。何だろう?映像が流れているが――スマホの画面を人が見て……カメラ機能で何か?という感じか?さすがにここからだと詳細はわからないか。でもあの市長ホントいろいろするよ。いやー、すごいね。って、知ってる顔が出てきたからちょっと見ていたが。やっぱ俺には関係ないかな。ってことで、なんの話をしていた?あっ、俺が毎日働いていることに関してか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます