★欠落状態冒険者 ~defect state adventurer~

くすのきさくら

第1章 社会の駒。社会から追い出される

第1話 はじまり

 世界の始まりについてはいろいろな説があり私には何が正しいのかはわからない。でも――私の作った世界なら私が思うようにすべてをできる。


 私が作る世界では、すべての始まりは氷の世界から。その氷の中にたまたまあった1粒の生命の種が発芽したことで生まれた世界にする。

 氷が溶けて、大地が姿を現す。それと同時に種が発芽し。大きいな大きな巨人を生む。巨人の名前は何にしようかな?


 ――ユミル。とでも名付けようか。

 

 はじめはユミルだけの世界。大きな大きな世界にユミル1人だけ。しばらくして、さすがにユミルは1人では寂しいと感じた。そこで、自分の身体の一部から他の巨人を作ることにした。

 フギン。ムニン。フェニックス……と、自分の命がある限り。ユミルは仲間を作り続けた。そして、ユミルに作られた仲間も自分で新たな仲間を作り出した。

 そしてこの世界は少しずつ賑わっていく。

 

 そうだ、仲間が増える中で、イレギュラー。予想していなかった者も生まれる方が面白いことになりそう。

 ユミル達を始まりの神とするなら。イレギュラーになってもらうのは、邪神とでもしておこうか。フェンリル。ヨルムンガンド。ヘル。スルト……いろいろな考えを持つ者がいる方が世界は楽しそうだから。


 そこからさらに時が経つといろいろな生き物が増えていった。すると、どこで作られたのかはわからないけど、偶然小さな生き物。まるで――私にそっくりな生き物も生まれた。もしかすると世界を作る際に私の何かも含まれたのかもしれない。でもこれは面白い方に事が向いた。私にそっくりな生き物は、凄まじい勢いで数を増やした。これを人と私は名付けた。

 そうだ、もっと小さな生き物を増やそう。エルフやドワーフ。そうそう、ハーフとかが居てもいいかな?みんな子孫を残すのは必死そうだから、適当にいろいろな種族を増やしたら面白そう。そうだレアな生き物もいると世界が面白くなるかも。

 レアといえば神ほどではないが、でも神に近い存在がいてもいいかも。そうだ、龍とかも作っておこうかな?いや、すでに勝手に作られているかな?気が付いたら私の知らないところでも世界が拡大している。もう何がどうなっているかわからないじゃないか。でも――これならあとはほっておけば楽しいことが起こりそう。


 これは――面白い。


 あれ?気が付いたら人がさらに増えてる。すごい勢いで増えているよ。人が一番子孫を残すのに必死なのかな?あっ、そうか。寿命が短いからか。人は大変だな。でもみんな同じじゃ面白くないから、このまま――あれ?いろいろ考えている間に時が経っちゃったみたいで、ユミルはもういなくなっちゃったのか。こりゃ――そろそろ神々が暴れるかな?せっかく増えたたくさんのちっぽけな生き物が一瞬で殺されちゃうかも。

 でもこの世界には私の予想以上のことをしてくれる生き物がきっといる。居てもらわないと面白くない。居ないなら――呼べばいいか。でもしばらくは見学側に行こうかな。ゆっくりと私が作った世界を見ていよう。


 もし世界が壊れちゃっても――また作り直せばいいだけ。


 ――あれ?データにちょっとおかしなことが起きている?いや、小さなイレギュラーは気にする必要はないかな。


 さて、この世界の最期は――どうなるかな?

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