第3話 社会の駒語る
よし。無駄なことを話した――思った?まあいいか。とりあえず次はちゃんと自分の事を語ろう。
現在俺は調理の仕事をしている。まあ調理といいつつ。今では全てだがな。接客だろうが、事務だろうが。新商品開発も一応するぞ?って、気が付いたらマジで1人で全てやっているんだよなぁ。とにかく全部をしている意味わからないという人もいるかもしれないが。俺も意味が分かってない。全くわからないところをいきなりやれと言われているような状況が続いているからな。
今の仕事は、なんとなく選んだ仕事だ。でも料理なら元々好きだし。子供の頃から作っていたし。食なら生きている限り必要というか。自分の今後のためにもなるかということで、飛び込んでみた。
初めはまあ予想通りのバタバタの日々。当たり前だが、わからないことだらけだったからな。でもこの時はまだ普通に『社会人なったー』的な感じがあったかな。先輩というのか。ちゃんと指導してくれる人が居たからな。でも――どこからだろうな?なんか毎日朝から晩まで、同じ繰り返し……いや、繰り返しではないのかもしれないが。急に先輩だった人が移動になり。新たに本社から来たとか言う……まあその人も先輩。上司?の人か。新しい人になってから、あれもこれもと、俺は日に日に担当する仕事が増えていき……気がつくとと一緒に入った周りの仲間がどんどん消えていった。
まあ仲間と言いつつ仕事の時しか関わりはなかったが。でもまあ職場では普通の関係だったかな。嫌な雰囲気はなかったからな。今の上司が来るまでは。
みんな仕事が増えるにつれ疲れていき。1人消えたら……ドミノ倒しのように仲間は消えていった。そういえば突然音沙汰なしで消えた社員もいたとか。
これはちらちら聞こえてきた話だが。みんな条件が良いところに変わっていったらしい。まあそれが普通かもしれない。どう見てもというか。上が変わり雰囲気が一気に変わったからな。ちなみに風のうわさで聞いた話。俺が入社した時に居た先輩というのも移動してすぐに転職していたとか。これは今更の話か。今はどうなっているかわからないし。
まあ会社がこんなことになった原因というのか。あれは2、3年前だったか。「新型のウイルスだ!罹ったら死ぬぞ!」みたいな大騒ぎがあり。外出自粛。飲食店は休業しろ!とかで、まずばっさり人が切られたな。切られたって、刃物とかで――じゃないからな?
アルバイトだった人などが初めにどんどん辞めさせられ。気が付いたら俺たちだけ。俺は一応社員なのだが。まあ社員が全部する。ってことに変わっていった。
ウイルスだ!やらは今は落ち着き日常に戻っていたが……何やら毒性が強すぎて消えた――とか言っていたが。本当にそうなのかはわからない。突然政府の方が「もう日常に戻りましょう!規制撤廃!はい。何もありませんでした!」とか言う感じで終わったんだよな。さすがにすぐはそれまでの生活には戻らなかったが。突然ニュースなどからウイルスの話が無くなり。それまでは治療薬やワクチン。予防方法の大騒ぎだったが。今ではネット記事ですら探すのが難しくなっている。あれは何だったのだろうか?
でも、そのなんだったのだろうか?という数年で、俺の居た会社はボロボロになったらしく。あと、上の人間が。この時の人員削減を見て『あれ?この人数でもいいんじゃね?』とでも思ったのか。日常に戻った後も現場は最少人数で進められて、人員増加ということはなかった。
日常が戻り。最少人数で仕事。という日々が数ヶ月、1年と続くと社員もどんどん消えた。流石に社員が減ったら渋々という感じで上が新人を入れてきたが。新人曰くここはあまりの激務らしく即辞めていくのも珍しくなかった。最短記録は7時間で辞めて言ったな。あと、数日耐えても倒れた――とかあったな。俺も一応先輩として、わかりやすく丁寧に仕事を教えようとはしていたが――が。なんだよ。ほとんど1人でお店を回している中で、新しい社員に教える。これがなかなか大変。そういえば前に来た新人が言っていたが。俺の行動がおかしいとか言っている新人も居たな『——さんは、まるで分身でもしているみたい』とね。
常に大量の仕事量があるのに、俺は慌てることなく。でも超高速で物事を回している。とか――あれは褒められたのか何なのかはわかってないが。とにかく驚きまくっていた新人も居た。
俺は普通に――って、もしかしたら1人でばかりしていたから、知らず知らずのうちに無駄な動きを全てなくしていき。今はおかしな動きをしていたのかもしれない。まあ自分では今は普通に――なんだがな。誰かに俺の行動歴みたいなのを確認してもらいたいが――1人だからな。確認は無理な事か。俺自身も慌てることなく。といっても――だからな。することが多すぎて自分の行動を確認とかしている暇はない。
ヤバいだろ?俺の今の日常。
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