第3話 トンテキ

スーパーマーケット。

俺の家の近場のこのスーパーはタイムセールとかを常にやっており。

価格が安値で安定している。

その為にこの場所をよく利用するが.....何だろうか。

今日は猛烈な違和感があるな。


それはあの女子高生と一緒にこの場に来たからだろうか。

考えながら俺は安値の食材、特別な廃棄処分寸前の食材などを買っていく。

それは何故かといえば金が無い。

俺は社会人1年目だ。

金が無いのは当たり前である。


「しかし野菜は高いな。.....やっぱり今度買うか」


そんな感じで考えながら俺は買い物カゴに荷物を詰めていく。

それからビールコーナーをチラリと見て歩くと。

あの女子高生が酒棚の前に居た.....何やってんだ!?

俺は声を掛けようと思って近付くと。

相手側も俺に気が付いた様に慌て始めた。


「おま!?酒を飲むのか!?」


「は!?違うし!何を勘違いしているの!どんなのかなって見ているだけだし!」


「未成年飲酒は犯罪だ!!!!!」


「知ってるっての!!!!!」


買えないし!知ってるっつーの!、と慌てる女子高生。

それから俺を見てから赤くなる。

俺は?を浮かべて女子高生を見た。

そして、クソ生意気だわ、と言ってから買い物カゴを持って去って行く。


「何がクソ生意気だ。可愛げのないクソガキめ」


そんな事をジト目で呟きながら。

俺はそのまま、ついでだ。酒買うか。今日安いし、と思って買う。

それからそのままスーパーで会計を.....、と思ったら。

レジで青ざめているさっきの女子高生が居た。


「.....今度は何だ」


「財布が無い.....忘れた」


「ああもう.....つっかえているから。今は俺が建て替えておくから。今度払え」


「はぁ!?そんなの要らないし!」


とか言うが。

背後のおっちゃんやおばちゃん達は腹立てている。

早くしろ!、と言いながら。

俺はそれを確認して、会計するから。行けよ、と促す。

女子高生は、チッ、と言いながら俺に頭を下げてから会計済みの商品を持ってから去って行った。


何だ頭下げれるのかアイツ。

思いながら俺はそのまま自分の会計をしてから。

アパートに帰宅する。

するとその30分ぐらい後だが.....例の女子高生が。


〜〜〜〜〜


何でお兄ちゃんはそんなに優しいんだか。

考えながら封筒に先程の会計のお金を入れて持っていく。

マジに私のヒーローだって思う。

私はインターフォンをドキドキしながら押す。

そして現れた目を丸くしたお兄ちゃんを見てみる。


「これ。会計のお金」


「.....ああ。すまん.....もう持って来たのか」


「当たり前でしょ。借りは作りたくないし」


「そうか。有難うな」


またそんな笑みを浮かべる。

私はまた微妙に赤くなってしまう。

昔からお兄ちゃんは笑顔も素敵な感じだ。

全く、と思いながら、なあ。アンタ、と尋ねる。


「.....?.....何だ?」


「お礼代わりに料理を作ってやろうか」


「.....は?いや。良いよそんなの。女子高生だろお前。未成年搾取にもなるし」


「何その面倒いの?よく分からないから」


「.....頭が良いのか悪いのか.....」


そしてそのまま、じゃあ上がらせてもらうんで、と勝手に上がる。

するとお兄ちゃんは、ちょ!?、と慌てる。

それから部屋を見渡すと。

余りの汚さに.....眉を顰めざるを得なかった。


「.....アンタ。汚い。この部屋」


「だから言ってんだろ。お前の様な奴は上げれないって」


「彼女でも出来たらどうすんの?おっさん」


「.....俺はおっさんじゃねぇよ.....」


女子高生にしてみたらおっさんだけど、と言いながらも。

私は唇を噛む。

そしてウズウズし始める。

お兄ちゃんの部屋だ.....、と思いながら。

興奮を抑えつついつも通りの冷静さを取り戻してから、アンタの部屋片していい?、と聞いてみる。


「は!?何でそこまですんだよ!?」


「良いから。私が嫌なんですけど。ゴキブリとか出てから私の部屋に来たらマジ殺すから」


「失礼だな.....そんなもん発生するか!俺はたまに片しているからな!」


「今の状況じゃ説得力皆無だし」


「まあそうだけど。そこまでする必要は無いんだが」


「私がしたいって言ってんの。従え」


「.....無茶苦茶だ.....」


何だこの女子高生、と思われているだろうけど。

こういう仕事はしたい。

得意だしな。

だけどそれ以外にも。

好きな人の部屋を掃除出来るなんてこんな素晴らしい事はない。


「料理は何が良い」


「冗談だろ。マジに作るのかよ」


「当たり前でしょ。.....作るって言ったからには作るし」


「じゃあトンテキ作れるか」


「.....まあ作れるけど。ビールのつまみとかなのそれって」


「ああ。トンテキとビール。まさにビールは美味いぞ」


それは知っているけど。

お兄ちゃんにそんなにビールを飲んでほしくない。

肝硬変とか怖いものがある。

思いながら私は困惑しながらもそれを隠しつつ。

病気になるぞアンタ、と言う。


「まあ確かにな。.....程々にするよ。ってか何でお前に言われなくちゃいけない」


「.....それは私が.....」


「.....?」


「な、何でもないし!!!!!」


口が滑りそうになった。

危ない!!!!!

思いながら私は必死に言葉を飲み込む。

それから眉をまた寄せてから、何でも良いでしょ、と答える。

それに対して、意味が分からん、と言いながら落ちているものを拾い出したお兄ちゃんを見ながら。


「.....」


私は隠れながら赤面しつつ。

そのまま片していく。

赤面がバレない様に荷物を拾っていった。

ドキドキする。

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