第4話 パーッと花火を上げる
降り注ぐ光の球。
それらめがけて、青さんが連続でクロスボウを撃つ。
クロスボウから、次々と光の矢が撃ち出された。
矢が命中し、光の球は破裂。
あたりに煙が立ち込める。
「まーったく」
煙の中を、アタシとお藤さんが駆け上がる。
「せっかちなんだから」
ドンッ
『グアッ』
煙の向こうに影。
それに向かって、遠慮なく弾を撃ち込んでいく。
ドンドンドンドンッ
『ギッ』
『ギャギャッ』
煙の中から悲鳴。
と。
『キィェッ』
ビュッと触手が伸びて来た。
やば、と思う間もなく、
キィンッ
触手は、銀の刀に弾かれた。
ダンッ
後ろから強い踏み込みの音。
駆け上がる、というより、飛んで来たという方が正しい気配が、私の横を通り過ぎた。
『キ』
ザシュッ
一瞬晴れた煙の向こうで、お藤さんが敵を斬り伏せていた。
バシュバシュバシュッ
背後のクロスボウの音。
グアッ
キキッ
敵の断末魔。
「いつの間にか下からも来てるね」
どうやら、下から上って来た敵を、青さんが倒している音だったらしい。
「こそこそ出来るのもここまでってこと?」
アタシは言うと、また新しいマガジンを取り出した。
今度は、ボレロの後ろ身ごろ内側から。
「なら、派手にぶち上がってこ!」
ガチャンと装填して、敵……二足歩行のサイみたいな魔物……にハンドガンを向けた。
ドンッ
『グァッ』
敵がよろける。
これ幸いに駆けあがり、同じステップへ。
踊り場かと思ったけれど、脇にドアがある。
もしかしたら、ここに敵が待機してたりする?
よろけながら立ちあがった敵にまた銃弾を撃ち込む。
至近距離で連射。
ドンドンドンドンッ
ドアごと、敵が部屋側へ吹っ飛ばされる。
「いいね」
アタシは、敵を追って部屋に飛び込む。
「馬鹿、広いところに出たら一気にやられるぞ!」
「いいじゃん」
アタシは振り向いて、ウィンクを贈る。
「逆に一網打尽にしてやろう」
ドアの向こう側は、広い空間だった。
たぶん、大人数用の会議室。
右側一面は、はめ殺しの硝子窓。
向かいの(逆さU字のもう一辺である)ビルが見える。
部屋に居た魔物たちは、アタシたちを見るや否や、当たり前だけど向かって来た。
容赦なく、火の玉や触手が飛んでくる。
アタシも容赦なく、鉛の弾を撃ち込んでいく。
ドンドンドンッ
ボボボボボッ
銃弾と火の玉が、空中でぶつかり合った。
ドォンドンドォンッ
空中で、連続小爆発。
流石にちょっと床が揺れた。
「おっと」
「チッ!」
アタシの後ろにいた二人の声。
「一人で突っ走るな!」
ザシュッ
バシュンッ
クロスボウの発射音、刀の斬撃。
斬られた触手が宙を舞い、撃たれた羽根が飛んで、塵と化す。
アタシはふと窓の外を見て、思わずニッと笑った。
ナイスな位置だ。
二人を振り返り見て、ウィンクを飛ばす。
ちらちらと窓の外を示しながら。
お藤さんは怪訝な顔をしていたが、青さんはアタシの意図に気付いたらしい。
お藤さんを引っ張り、方向転換。
「へっへっへー」
アタシはそれを確認して、その場に敢えて立ち止まった。
「さあ、とくとご覧あれ」
スカートを持ち上げる。
美しいカーテシーの動作。
かなり練習した、この動き。
ゴトゴトゴトンッ
キンッキキキンッ
すると、スカートの内側から何個も落ちる鈍色レモン。
ゴロゴロ……
『!?!?』
それらは魔物の方へ寄って行き。
「あいつ……!」
「嘘でしょ……」
カッ
ドオンッ
爆発音を、響かせた。
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