第12話 「魔人を探せ」
廃集落から東に歩くこと10分。
整備された道を歩くと目の前に洞窟の入り口が見えて来た。
島の4つのエリアボスを倒したものの、中央エリアの行き方が分からず手当たり次第島を探していた時見つけた物だ。
エリアボス倒す前にも島は一通り見ているが、見つけられなかった。
と言う事は、多分“エリアボスを倒す”がトリガーとして現れる洞窟だと思う。
あと、サカイさんも見つけられないって言ってたから正しくは“4つのエリアボスを倒した者”がクランメンバーに1人以上いないと見つけられない仕組みかもしれない。
隠しエリアに入れる洞窟の入り口はエリアごと必ず1つある。
廃集落エリアから1番近い入り口は、東の森エリアに近いこの洞窟になる。
4つの洞窟の入り口暇な時に整備しといて良かったー。
蔦やら砂やらで片すの大変だったんだよね。
白モフを抱えながら地下の隠しエリアの入り口をくぐる。
「へぇ、隠しエリアって地下空洞なのね」
「でも地下っぽくないですよねー?何でこんな明るいんだろう」
入り口は人1人やっと入れるかってぐらい狭いが、中にいれば先が見えない巨大な空間になっていた。
しかし地下って暗くジメッとした雰囲気があるが、この地下空洞は昼間並に明るい。
「あぁ、多分この岩ですね」
辺りを見渡していたクロウは、近くにあった岩に触れる。
「ただの岩に見えるでござるが……。光っているようにも見えなくはないでござるな」
後ろから覗き込みクロウが触れている岩を見るサカイさん。
ガッ!
素手で岩を殴るクロウ。
無残に砕け散りキラキラと発光する岩の欠片。
クロウさんは何故武器の杖を手に持っているのに使わないのか。
その杖は飾りなんか?
チラッとヨウスケを見ると何か言いたそうにしていた。
分かる、言いたい事はすごく分かるぞ。
魔導師じゃなくて脳筋に改めた方がいいんじゃないかな。
「
「夜行岩?あら、中の方が光が強いのね」
砕かれた岩の欠けた面を見ると、表面より段違いの光を放っている。
明るいと言うより眩しいくらいだ。
「高濃度の魔力を含んだ場所からしか取れない魔石の1種です。……主な原産地は【魔国】」
―高濃度の魔力に、原産地は魔国。
つまり……
「ビンゴでござるな」
「ですねー、後は素直に出て来るかですけど」
「出て来なかったら引きずり出せばいいのよ?追いかけまわせばそのうち出てくるわよ」
「根比べは得意ですよ。どちらが先に根をあげますかね」
『
武器を片手に魔物を見つけ次第狩りまくる皆。
それを見て、白モフは呆れた顔をする。
見ただけだと逃げ惑う相手を殲滅してる感あるよな。
「ハハっ……でも、強い相手と闘えると思うとワクワクしない?なんて言うのかな……高揚する?」
『小僧……お主が1番の変態じゃな』
えー何その白けた目。
冒険者って皆そんなもんじゃないのかな。
『だから儂に手を貸したのか?……儂を助けても小僧等に何の得もなかろうに』
抱き抱えている白モフはただ地面を見つめている。
迷子になって行き先も分からず泣いてる子供みたいだな。
この島を守る“ヌシ”でいなければと思っていたのに、ある日突然無くしてしまい自分の在り方を見失なってるかもな。
「んー、別に白モフの為ってワケではないよ。……どちらかと言えば……」
ドッガアァァァァァァンッッッ!!!!
『『貴様等ーっ!!人の縄張りで何してくれてんだーーーーーッッ!!』』
「うっさーい……耳痛いんだけど」
「意外に早く釣れたわね」
ガラガラと崩れた壁から現れた2つの影。
頭の右側に角が生えたの燕尾服を身に纏う男に頭の左側に角が生えたメイド服を身に纏う女。
顔立ちが似てるから双子だったりするのかもしれない。
だが、人ではありえない風貌をしているのは明らかだ。
どうやら探していた魔人は向こうから来てくれたらしい。
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