第7話 「ログアウト」
「……と、言う事になります」
簡単にざっくりとした説明を終えた俺。
本日2回目の正座です。
「なるほどね。リーダーの説明を聞く限り拠点としては廃集落エリアが理想ね」
「食べ物と暖を取れる布団、毛布類は確保しときたいでござるな」
「集落跡地だから雨風が凌げる建物があるのもいいですね」
「……ハァ、耳だけ暖かい……」
スモールフェザーの撃破報酬である耳あては、すでにヨウスケに進呈してある。
まだ子ペンギンの如く布に包まれているが、ふわもこで暖かいので幾分表情が和らいでいた。
「でも、とりあえず浜辺エリアの簡易ポータルでログアウトした方がよくないか?……時間的にそろそろキツそうだし。今日の夜ログインしたら浜辺エリアでアイテム回収の為にスモールフェザーを倒して廃集落エリアに向かう感じで……どう?」
明日の学校や仕事に支障が出るのは不味い。
明日は土曜日。
イベント前に確認しといたが幸いメンバー全員が学校や仕事が休みみたいだし。
「そうね、島の探索には防寒具いるものね。異論はないわ」
「確かに。長期戦みたいですし、最初に手にいれてた方が良さそうですね」
「異論はないでござる」
俺の提案に頷いてくれる3人。
布の塊になっているヨウスケは軽く手を上げて肯定している。
「とりあえず、簡易ポータルに向かうか」
俺は以前マッピングしたログを確認して歩きだした。
先頭の俺は、時折後ろを向いて皆を確認する。
少し早かったのか、最後尾のヨウスケと若干距離が出来てた。
ペースを落とし少しゆっくり目に歩く。
んー、スモールフェザーあんましいないなぁ……
以前はここら辺にも住み着いてたんだけど……他の冒険者にでも狩られた後なのか?
あぁ、そういえばあの時より木の実も少ないな。
スモールフェザーは草食なのか木の実とか薬草を好んで食べる。
餌がないからこの辺りから移動した……ってこと?
ゆるやかな坂道を下ると、目的の簡易ポータルが見えてきた。
近くには何人かの冒険者がいるようだ。
遠目から見た感じだと親しそうに雑談してるからクランの集まりだろう。
イベント期間だけソロの冒険者達が臨時でクラン組む事があるが、どうしてもよそよそしい感じがある。
やっぱり、ログアウト前に拠点探しときたいのか、拠点を探し終えた感じかな?
他のクランの邪魔にならないよう端の方に寄る。
「んじゃ、夜に集合な。ヨウスケは無理そうなら簡易ポータルのセーフティエリアにいろよ?」
「「「「了解」」」」
各自ログアウトして行くのを確認してから、俺もログアウトのyesを選択する。
あ、もう2時過ぎたか~。
何時もより遅めだし明日寝坊しないようにしないと。
ログアウトする一瞬。
ほんの一瞬だけ視界に捕らえた光景。
―明日の探索は少し厄介になるかもしれない。
・・・・・・・
『フッフフフフ……遂に見つけたぞ……』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます