第6話 「無人島と寒がり」
やって参りました無人島!
そして、ただいま無人島ー!
1ヶ月ぶりの見覚えのある島。
相変わらず鬱蒼としている、違いがあるとしたら他の冒険者がいる事ぐらいだ。
ちなみに……
イベント期間はステータス画面に『イベントに参加しますか?yes/NO』と言う選択が現れる。
この選択にyesを押すと自動でイベントエリアへと行く事ができる。
ただし、クラン毎にイベントエリアにランダムで転送されるのでマッピングしつつ
今回は期間中脱出制限があるので、期間終了またはヌシを倒すまではイベントエリアから出られない。
脱出制限と行っても、通常エリア、クランハウスなどに入れないだけで、島にある簡易ポータルから自由にログアウトは可能だ。
だから、事前のアイテム・装備の入念な前準備をしておくに越した事はない。
してないと……
「……寒っ、寒ぃ……」
体躯座りでガタガタ震えるヨウスケ君。
寒さでカチカチ歯が鳴るくらい震える姿に見てるコッチが居たたまれなくなる。
断崖絶壁のこの島は周りが海なせいか海風がもろにあたり日差しがあっても体感温度は寒く感じる。
俺は自分のコートをヨウスケの背に掛けてやる。
皆考えるのは同じなのか、クロウも自分のマントをかけ、ツクヨミさんは自分のストールをマフラー変わりに首に巻いていて、サカイさんはいつの間にかアイテムボックスから薄手の手袋を出して着けてあげている。
先程より震えがマシになったものの完全に布の塊に埋まってしまっている。
親ペンギンに引っ付いて暖をとる子ペンギンみたいだ。
「んー、どうしましょう?簡易ポータルに移動するにしても動けないんじゃ駄目よね」
「1人用のポータルはありますけど、エリアを歩けないのでは意味ありませんし」
1人ポータルはフィールドで次の簡易ポータル・街まで行くのが困難な場合の使いきりアイテムだ。
しかし、脱出制限がかかっているこの島で出来るのはログアウトのみ。
つまり……近くの簡易ポータルもしくは非戦闘エリアである場所まで自分の足で行かないといけない。
普段なら積んだこの状況。
しかし、ここに2週間近くこの島にこもっていたヤツがいる。
えぇ、俺です!
島のマッピングはバッチリ。
隅々まで……隠しエリア、ヌシがいる場所まで網羅している俺に視覚はない。
ここから1番近いのは……
浜辺側の非戦闘エリアだ。
島は三日月型をしていて、東は森エリア、西は浜辺エリア、南は廃集落エリア、北は遺跡エリア、そして島のヌシがいる中央エリアの5つに区分されている。
まぁ、今の段階では中央エリアに行くことは不可能だけど。
4つのエリアボスを倒しただけじゃ中央エリアは解放されない……とある条件付きなのだ。
これが最大の難関なんだよなぁ。
戦闘してどうこうじゃないって公式が好きそうな引っかけだよな。
今俺達がいるのは島の浜辺エリアと廃集落エリアの中間ぐらい。
廃集落のエリアの簡易ポータルはここから沼地を超えなくてはたどり着けない。
歩くのが辛いヨウスケが足場の悪い沼地は無理だろう。
幸い浜辺エリアの簡易ポータルは、1メートル先の坂を下ると着く。
ただ、海風はここよりひどいけど……
「あっ……」
―不意に視界を横切る影。
……あれは……
俺はほぼ反射的に自作のダガーをそれに投げつけた。
バシュッ!!
「……グワッ!」
空を切り飛んで行ったダガーは目的のモノ―イベント限定の鳥“スモールフェザー”の首に勢いよく当たった。
致命傷になったのか一声鳴いたかと思うと落下してきた。
しかし、地面に落下する前にパァと光りある《アイテム》に変わった。
ポトッ。
っと落ちた《アイテム》―ふわもこで暖かそうな耳あて。
くっ!マフラーか手袋狙いだったんだけどな。
まぁ……魔物が落とすアイテムはランダムだから仕方ないか。
浜辺エリアだと小物系なんだよな。
コートとかダウン系は森エリアと遺跡エリア方面になる。
ちなみに廃集落は食べ物、布団、毛布等生活用品だ。
「ちょとっ!リーダー説明してくれるかしらッッ!!」
……あ、やべ。
これは説教コースですね。
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