第8話 「沼地のアレ」



「あれ?俺が最後だったりする?」



あの後、遅めに寝たが寝坊する事なく起床し朝ごはんを食べて出社した。

今日は珍しく残業もなく定時退社出来たのは嬉しい。


いつもより足取りも軽く帰宅。


早く帰れたのもあるが明日・明後日は、家にこもりワンエデをやる予定なので温めればすぐ食べれるカレーを作り置きしてた。

久々にコンビニ弁当出じゃなく手作りの食事食べたよ。

やっぱりいいよね手作り。


入浴剤を入れゆっくりお風呂に浸かる。

時計を見れば昨日より2時間早かったが、誰かしらはいるだろう。いなかったら近場で誰かくるまで狩りでもするかとログインした。



が、ログインすると俺以外の朱の咆哮メンバーが揃っていた。

遅すぎた……ワケじゃないよな?



「今日は珍しく定時で帰れたんですよ」

あぁ、クロウも定時で退社出来たんだ。


「あれ?2人とも同じ会社じゃなかったかしら?」

以前話していたのを覚えていたのかツクヨミさんは首を傾げた。

俺は疑問に「あぁ……」と変な声が出てしまった。

「同じだけど、部署違うしわざわざ一緒に帰宅するのはないかな……」

「ザクロの部署はほぼ毎日残業ですし時間合わないんですよ。それに家が反対方向なので」

悪かった残業ばかりの部署で……

やってもやっても次の仕事がくるんだから仕方ないじゃん。

クロウも手伝ってくれていいんだけどなー

……まぁ、言うだけ無理だろうけど。



「じゃあ、とりあえず沼地地帯まで行くか。さっさと拠点作りたいし」

「そうですね。いい拠点場所は早いもの勝ちですし、今のうちに作っときたいですから」


いつまでも簡易ポータルの所にいたら迷惑だろうし、沼地に行く為に歩きだした。


途中、昨日気になっていた木の実を確認するが、今日は色づいた実が鈴なりになっている。

やっぱり冒険者が採った後だったのだろうか?


見つけたスモールフェザーは見つけたら狩っている。

今は5匹……あ、サカイさんが今仕留めたから6匹か。


落としたアイテムは……


・ふわもこマフラー×3

・ふわもこ手袋×1

・ふわもこ耳あて×1


そしてサカイさんがさっき仕留めたスモールフェザーのアイテム……


・ふんわり猫耳帽子×1

┗スモールフェザーの群れのボスの羽をふんだんに使用した猫耳帽子。極上のふんわり感はいつまでも触っていられる。

寒さ耐性5%UP。


何か地味に嬉しい耐性UP付きのレアアイテムだった。


寒さ耐性ね……

チラッ。

皆の視線を受けたヨウスケは若干顔が引きつっている。

しかし、猫耳より寒い方が嫌なのか渡したら直ぐに着けてた。

イケメンの猫耳帽子とか誰得ですか?

これを企画し提案した人の並々にならぬ熱意を感じる。




その後数匹程狩って移動した。

俺達は浜辺エリアを抜け、廃集落エリアに足を踏み入れた。

廃集落がある場所までには沼地を越えなければならない。

だが、この沼地ただの沼地ではない。

衣・食・住と理想的に揃っている拠点の場所に簡単に行かせるワンエデン公式ではない。



「皆ストップ!」

沼地の前で立ち止まる。

うーむ……やはりいるよなぁ。

「リーダーどうしたでござる?」

「お腹でも下したのかしら?待ってあげるわよ」

「いや、トイレじゃないからっ!違……わなくもないけど!この沼地にアレがいるの!」


そうここには皆の天敵がいる。


「何がいるんですか?」

「沼地だから、ワニとかいそうですよねー」


皆、揃いにも揃って緊張感が無さすぎるだろ。

アレが来たらと思うと背中がゾワゾワしてくる。


ヒッ!

この気配は……ヤツが来る!


「……この沼地には、巨大Gモドキがいるんだよっ!!」


あの独特なカサカサ、カサカサって移動する音が沼の中から聞こえてくる。


「いや、何で沼地にGを配置したっ!!!場所考えろよ公式!」

あ、ツッコミ担当ヨウスケ君的にはアウトなヤツでしたか。

でも、ふんわり猫耳帽子の寒さ耐性のお陰かツッコミのキレも戻りつつあるね。




ザシュッッッ!!


沼地に投げこまれたナイフ。


ナイフって浮力を無視して真っ直ぐ行くものかな?

いかないよね?




「仕留めたでござる。アイテムは何でござるかな?」


ウッキウキと沼を覗きこむサカイさん。

いつにもましてサカイさんが頼りにみえる!



だけど、Gモドキのアイテムは近づけないで下さいっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る