第2話 異世界転生

んっ・・・。無事に異世界転生できたようだな。


自分の住んでいた魔族領とは似ても似つかない。


異世界とはこうも奇怪なところであったか。


意識が徐々にはっきりとしてきたが、あまりの人の多さに戸惑いを隠しきれない。


渋谷のスクランブル交差点の隣にあるハチ公前に今までの姿形そのままで転移した魔王は、ハロウィンの仮装行列を見て面を喰らう。


人間と魔族のハーフのようないで立ちは、元居た世界では見たことがない。

しかもおかしなことに、この世界には魔力が満ちていないせいか、気軽に魔法が使えない。


魔方陣は完璧だったはずだ。

聖王国に勇者を送り出している場所を突き止め、そこを殲滅する予定であったのに、どうしたものか。


途方に暮れていると、いきなり手を引っ張られ


「あー良かった。魔女役の娘が急に来れなくなっちゃったから、代役を探してたんだよね。お姉さん暇だったら少し付き合ってくれない?」


手を取った女は、白い羽を背中につけた天使の姿をしていた。

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