勇者召喚をくい止めようと日本に転生した魔王(女)には恋愛耐性がなかった

もぴー

第1話 魔王の苦悩

「魔王様、またもや聖王国が勇者召喚に成功したもようです。」


「そうか、報告ご苦労であった。」


側近をねぎらう言葉が曇る。


「またもやわらわの命を狙う勇者が召喚されたか。」

「毎年飽きもせずに聖王国もよくやるものじゃな。」


しかし年々、勇者の力も強大になってきている。

前回は初めて、魔王城にまで攻め込まれ、やっとの思いで撃退できたが、こちらの被害もそうとうなものになってしまった。



なぜ、邪神様は異世界転生を防いでくれないのか


ずっと疑問に思っていたことだが、ここ数十年、交信も途絶えてしまったので、聞くこともできない。



この20年構想していたことを実現する時が来たのかもしれない。

≪自身で異世界転生し、勇者召喚を止める≫


もうこれに賭けるしかない。

20年分の魔王の魔力をこめた魔水晶を首にかけ、転移魔方陣の上に乗る。


聖王国に潜入させていたアサシン部隊に勇者召喚の魔方陣を毎年念写で送らせていたので、完璧に解析し構築済みである。


「少し留守にするが、うまくやっておいてくれ。」


私は側近にそう伝え、転移魔方陣に魔力を流し込んだ。


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