第14話 あか



薄暗い路地裏に、真っ赤なポーチが落ちていた。



いや。

よく見れば、地の色は白のようだ。


どうやら、ポーチそのものが赤いのではなく、赤い、何かによって、染められているのだろう。


赤い水玉模様のようで、可愛らしいさはあるかもしれない。



もう少し先に行くと、赤い鞄が落ちている。


その鞄は、先ほどのポーチよりも赤く染まっていた。


地の色が分からないほどに。


真っ赤に。




更に。

その先に。


赤い線が乾いた絵の具で引いたように、掠れていた。



更に先へと、進む。



そこには、真っ赤な口紅が、真っ赤な海の中に沈んでいた。


その少し先に、同じ色の口紅が、見えた。


やけに、横に、長く、引かれていた。


そこにいたのは―



お題:ポーチ・赤い鞄・口紅

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