第55話 チーム練習2



「…それは本当かしら?」


早乙女のユニークスキルは僕はすでに知っていたので驚きはなかった。


この場で初めて早乙女のユニークスキルの力を聞いた早乙女は少しだけ驚いたような表情を浮かべる。


「ほ、本当って…?」


「どんな怪我でも治せる、と言う部分よ。もし本当なら相当強力なユニークスキルと言わざるを得ないわ」


「ほ、本当だよ…!どんな怪我でもすぐに治るの…!あ、でも一日に何度も使えるわけじゃなくて、制限があるけど…」


「それでも強力なことに変わりはないわ……なるほど。早乙女さん、あなた治癒スキル持ちだったのね。それも治癒の最上位級のスキル」


「う、うん……癒すことに関しては自信あるかも……けど、その代わり私、そのほかの探索者としてのパラメーターは全然で…」


「十分よ。少なくとも私があなたと一緒のチームにいる限りは、攻撃に関しては心配しないで」


「た、頼もしい、かも…」


意気投合する早乙女と黒崎。


この間食堂で三人で飯を食べた時は危うげな空気が漂っていててっきり仲が悪いのかと思っていたが、案外そうでもないのかも知れない。


「ありがとう早乙女さん。あなたのユニークスキルの力はよくわかった。これから先、後方支援はあなたにお願いすることになりそうね」


「や、役に立てるように頑張るよ!」


「ええ、期待している。それじゃあ……次は私が話した方がいいかしらね?」


チラリと黒崎が僕の方を見ながら聞いてきた。


「僕はどっちでもいいよ」


順番に意味はない。


僕は黒崎よりも先に自分のユニークスキルを明かしても構わないと思っていた。


「そう。なら私からの方がいいかしらね。言い出したのは私なのだし」


そういった黒崎は、一泊置いてから、自分のユニークスキルを明かす。


「私のユニークスキルは……『念動力』。ものを触れずに動かすことが出来る力よ」


「す、すごい…!」


すぐに反応したのは早乙女だ。


キラキラした瞳で黒崎のことを見つめてい

る。


「ちょ、超能力ってこと…?ど、どんな感じなの?」


「そうね…実際に見た方が早いかしらね…」


そういった黒崎が早乙女に手を翳した。


「きゃっ!?」


早乙女が悲鳴をあげる。


早乙女の制服のスカートが徐々に持ち上がっていったからだ。


「ちょ、黒崎さん!?」


早乙女が慌ててスカートを戻す。


黒崎がくすくすと笑う。


「冗談よ」


「も、もうっ…」


早乙女がぷくっと頬を膨らませる中、黒崎が僕のことを見て言った。


「これが私のユニークスキル。どう?驚いた?」


「…まぁ、すごいと思うよ」


実際、強力な能力だと思う。


もちろんスカートのような軽いものを持ち上げるだけの力ではないのだろう。


黒崎がその気になればもっと強力な力を発生させることも出来るはずだ。


「わかっているとは思うけど、軽いものを動かせるってだけの力ではないわ。その気になればもっと重いものを動かせる。瞬間的になら、岩を砕いたり鉄を曲げたりするほどの力も発揮できる」


「す、すごい…そんなに…!?」


早乙女が目を丸くして驚いている。


もし黒崎が行ったことが本当だったら確かに驚きに値する強力な能力だ。


どうやら黒崎は噂に違わぬ実力を持っているらしかった。


「さて…」


能力を明かした黒崎が僕の方を見た。


「次はあなたの番よ、雨宮くん。まさかここまできて逃げないわよね?」

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