第15話 実技試験4
『グォオオオオオオ…!!』
試験用モンスター、オーガが僕に向けて突進してくる。
実技試験が始まった。
ルールは単純。
十分以内に、このオーガを倒せばいい。
そしたら合格だ。
武器はバトルルームにあるものならなんでも使っていい。
ユニークスキルも、通常スキルももちろん使用可だ。
「さて…」
僕はまずオーガを鑑定し、そのレベルとステータスを見極める。
「スキル、『鑑定』」
====================
名前:オーガ
種族:モンスター
ランク:A
レベル:32
攻撃:8900
体力:7800
敏捷:9000
防御:9500
ユニークスキル:無し
スキル:無し
====================
目の前に、自分のステータスと同様にオーガのステータス情報が表示される。
「なんだ。ただの雑魚か」
スキルも何もない、ただの図体だけの個体だった。
おそらく試験用にわざとスキルを持っていない個体を選び出したんだろうな。
「こんなのを倒すだけで合格か」
味気ないそう思いながら、僕は一応オーガに向かって構えをとる。
『オガァアアアアアアアアア!!!』
オーガが突進し、僕の目の前まで迫ってくる。
僕はそんなオーガに対し、手始めにまず動きを封じるスキルを使った。
「スキル…『威圧』」
『オガ…!?』
僕の目の前まで迫っていたオーガが突然動きを止めた。
まるで僕を恐れるように数歩後ずさる。
スキル『威圧』。
自分よりも低いレベルの相手にのみ通用するスキルで実力差を理解させ、動きを怯ませる効果がある。
通常は群れに対して使うスキルなんだけど……まぁ、これも戦闘技術として加算してくれると思う。
無駄ではないはずだ。
『お、オガ……』
僕から逃げるようにどんどん距離をとっていくオーガ。
「逃がさないよ」
僕はオーガに対して二つ目のスキルを使った。
「スキル……『グラビティ』」
『お、オガァアアアア!?!?』
オーガが膝をつき、地面に平伏す。
スキル『グラビティ』。
重力を加速させ、相手の身動きを封じ、地面に縛り付けることのできるスキルだ。
雑魚ならそのままペシャンコにできるが、流石にAランクのオーガはこの程度では死なないらしい。
「さて…どう料理しようか」
僕は身動きの取れなくなったオーガにゆっくりと近づいていく。
『オガ…オガァ…オグゥ…』
オーガは距離を詰めてくる僕になす術がない。
地面に平伏し、まるで媚びるように弱々しい鳴き声をあげながら体をぶるぶる振るわせている。
「悪いね…でもこれは試験だから…」
『グォオオオ…!』
「せめて一撃で楽に殺してあげるよ」
僕は這いつくばったオーガの頭の前で片手を上げた。
「スキル……『旋風』」
そしてスキルを発動するのと同時に、その手を振り下ろす。
斬ッ…!!!
鋭い音と主に、僕のスキルがオーガの太い首を切断した。
ゴロリと地面にオーガの首が転がる。
ドサ…
『……』
力無く地面に倒れ、脱力するオーガの胴体。
頭部を失ったオーガは、一瞬にして絶命したようだった。
「これでいいですか?」
パンパンと服についた埃を落とした僕は、天井のモニターに向かって言った。
『な、何者なんだお前…』
「え…?」
『あっ…オンになってた…ううんうううん…!!なんでもない!!聞かなかったことにしてくれ』
「あ、はい…」
『うむ……ご、合格だ…部屋を出ていいぞ』
「え、もう合格ですか?」
『あ、ま、間違えた…すまない。ご、合否の通知は後日通達する…し、試験はこれにて終了だ…!』
「はぁ」
『も、もう出ていいぞ…』
扉が開いた。
僕は出口と書かれたそこからバトルルームの外に出た。
なんかスピーカーの人、声が震えててめっちゃ焦っている感じだったけど大丈夫なのかな?
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