第10話 五年後、探索者育成高校へ
あれから五年の歳月が経過した。
「父さん母さん、いってきます」
「おう、行ってこい裕太!」
「頑張りなさい!裕太!」
早朝。
僕は玄関で両親に向かって挨拶する。
両親は笑顔で俺を送り出す。
「落ちても落ち込むんじゃないぞ、裕太!」
「そうよ裕太。たとえ探索者育成学校に入れなくても他にまだ道はあるんですから」
僕が歩き出そうとすると、背中に両親からそんな声がかかった。
彼らはおそらく僕が『探索者育成高校』の入学試験に受からないと思っているのだろう。
それもそのはず彼らはいまだに僕のユニークスキルがGランクの使い物にならないスキルだと思い込んでいる。
実際には僕のユニークスキル『迷宮発見』は、他のどんなユニークスキルすらも凌駕する最強のスキルなのに。
彼らにとって、僕が全国からさまざまな強いユニークスキルを持った受験生が集まる『探索者育成高校』を受験するのは無謀だと思っているのだろう。
それは僕が力を隠しているのだから、勘違いするのも仕方がない。
けれど僕の見立てでは僕は確実に『探索者育成高校』の受験に合格することができる。
僕のユニークスキル『迷宮発見』の真価に気づいたあの日から、僕はひたすら努力を続けてきた。
本当の力を隠しながら、『異空間ダンジョン』へと何度ももぐり、レベルを上げ、さまざまなスキルを獲得した。
この日本中のどこにも、僕の年齢でこれだけのレベルとスキルを有している人間はいないと断言できる。
そんな僕が『探索者育成高校』に受からずして一体誰が受かるというのだろうか。
「大丈夫だよ、父さん母さん。心配しなくても、僕は必ず受かるから」
そう言って両親に別れを告げて僕は歩き出す。
「大丈夫かしら…」
「裕太…落ちて落ち込んだりしないだろうか…」
背後からは両親のそんな心配そうな声が聞こえてきた。
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