4-2
犬丸警部が、
「なあ、
六角堂の一隅を向いて片ヒザを立てながら、唐木の花台の上に置かれた
「ううん。時間がなくて、間に合わなかったんだ」
と、屈託なくアッサリ答えた。
「はあー!?」
「なにそれ! ずいぶん薄情じゃね?」
「でも、
「は? ……どゆこと?」
「行くべき場所へ行くように、教えておいた。"彼"が
「"行くべき場所"って、どこよ?」
「あんまり問いつめないでよ。もう、この話は終わり」
「なんでよ!?」
「……
「誰に?」
「キミに決まってるでしょ」
「はあああー? 意味わかんねー!」
「うん。わからないほうがいい」
それを片付けるために、六角堂の扉に向かおうとした背中を、
「
「…………? あるよ。ほとんど毎晩、夢は見る」
と、
「オレ、
「…………」
「なんつーかさ。オレが
と、いつの間にか枕もとに座っていた双子の弟の顔を、かすかな苦笑まじりに見上げながら、
「きっと、夢の"周波数"みたいなのを、"同期"する相手に合わせるためには、オレ自身のチャンネルをいつでも空っぽにして空けとかなきゃならないんだ」
「そのせいで、キミは、自分の夢を見ることができないの?」
「うん。だと思う」
「そんなの、ぜんぜん知らなかったよ」
「まあ、別に。あらたまって話すようなことでもねーし」
「水くさいんだ、
と、
「なんでソッチがキズついたような感じ出すわけ? オマエのほうが水くさいんじゃ! 薄情者め……」
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