4-1
「……
流れるように口ずさむと、
たちまち
「
と、いきなり絶叫して、彼の寝顔をのぞきこんで心配していた犬丸警部の首に、ブラ下がるように両手でしがみついた。
警部の
犬丸警部は、板の間にアグラをかいた格好のまま困惑しきりで、
「
わんわん泣きじゃくり続ける
「そう。音楽のセンセだよ、
と、こちらは布団の上でモソモソと呑気に上半身を起こしながら、ハデなアクビまじりに言った。
「
「そうそう。老朽化して危険だからって、アッチコッチから建物の解体をせまられてたんだけど。あのセンセ、必死に署名を集めて、有名なピアニスト仲間のコネまで使って取り壊しを中止させてたよ」
「有名なピアニストのコネなんてあるのか? 一介の高校教師が」
シャープなコワモテをケゲンそうにしかめる犬丸警部の目の前で、
「むしろ、一介の高校教師なんかしてるのが不思議すぎるって、他のセンセや理事たちも言ってたよ。子供の頃から神童って呼ばれてて、教師になるまでは、世界的なピアノコンクールなんかをカタッパシから総ナメにしてたらしい」
「ほう?」
「まあ、
「…………」
犬丸警部は、暗灰色の
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