3-6
もともと
そもそも夢の世界のことなので、抱きかかえていたものが小ウサギから少年の姿に変わっても、
とはいえ、いつの間にか同じ年齢の少年に『お姫様ダッコ』をされていた
その間も、オオカミ男の抒情的なショパンのピアノは、ずっと絶え間なくつづいていた。
曲は、舞踏曲とするには抒情的すぎる第7番から、その名のとおりの「
舞踏会の晴れやかなプロローグをホウフツとさせるはずのメロディーが、なぜか、
不吉な予感を証明するかのように、突然、ピアノの内部から大量の赤い水が垂直にほとばしり、水柱がピアノの屋根を天井に向かって吹き飛ばす。
赤く濡れそぼった
「な、なんなの、あれ……!?」
オオカミ男は、赤い燕尾服の少年に真っすぐに顔を向けながら、そのフシくれだった美しい長い指は、よどみなくワルツをかなで続ける。
「あっ、……このオオカミ男! もしかして……」
「
ハッとした声でつぶやいた。
その瞬間、ピアノの楽譜台のスミに置いてあった銀色の懐中時計が、一直線に
「……っ!?」
叫ぶスキすら与えられず、時計に付いた細い
「く……っふ……っ!」
ノド元に食いこむ鎖に両手をかけて引きはがそうとするけれど、ビクともしない。
息苦しさにモウロウとして、アオムケに倒れながら、靴のカカトで何度も床をけずる。
「
「タダの夢だぞ、これは! 現実だと信じちゃダメだ、絶対に!」
「ぐ……ぅ……っ」
「マズい。マズいよ、これ。早く夢から起こさなきゃ!」
と、
ケゲンに見下ろす
「この状況が、
「
「それどころじゃないって! きっと、
「
「たかが夢、されど夢……ってね。夢の中で"本当に"死んだら、夢を見ている本人も、現実に死を迎えてしまうんだ」
「
「…………」
でも、もっと
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