3-4
ゴクリと息をのんで立ちすくむ
すると、銀色のマントの内側から真っ白い小ウサギが1匹飛び出すと、
スマートなダークスーツと
ふと思い出したように胸のポケットを探ると、銀色の
―――このオオカミ男は、オレの知ってる"誰か"にまちがいない……
でも、それが誰だったか思い出せず、しきりに首をひねった。
白い小ウサギは、
ショパンの抒情的なワルツの演奏が、また初めから美しく再開される。
途中で止まっていたピアノの屋根も、またジワジワと開きはじめた。
赤い粘液は、さっきよりも大量にドロドロとあふれ出てくる。
漆黒のピアノのほとんどが赤く塗りかえられてしまい、ピアノの下の床板には、ネットリとした赤い水たまりが広がっていた。
「タス……ケテ……」
少年の声が、ヤケにくぐもって響いてきた。
「タ……スケ……テ……」
語尾には、ゴポゴポゴポッ……と、水の中をおぼれているような音が混じった。
ピアノの屋根の下に隠されていた内部から、赤い粘液にまみれた片手がニョッキリと突き出て、ピアノの側面をつかんだ。
つづいて、もう片方の手が同じ動きをくりかえすと、少年のアタマがピアノの内部からヒョイッとのぞいた。
ウサギの仮面ははずれていたが、赤く濡れそぼった目と鼻は、のっぺらぼうのように陰影がアイマイだった。
「け、
真っ赤な粘液にまみれた
このままだと、頭部から床に落下してしまう。
「動いちゃダメだ、
その瞬間、もう片方の手を後ろから強く引っぱられ、反動で背後に引っくり返りそうになった。
「おわ……っ!?」
「おっと。ごめん」
「
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