3-2
1階と同じ広大なホールの光景だが、窓の外の樹木の緑ごしに、今度は、見覚えのある学校の校舎がハッキリのぞいて見えた。
「あ、分かった!」
「このホール、オレが通ってた高校にあったやつだ」
当時の国内外のセレブや外交官の社交場として、明治時代に建てられたという西洋館だ。
現在でも、国際的な音楽家を招いたコンサートやなんかが年に数回おこなわれたりするが、さすがに
「おーい、
走っているうちに、あらたな踊り場に行きついた。
手すりに身を乗り出して階下をのぞくと、深紅の燕尾服のシッポが視界をヒラリと横切った。
「
と、
その瞬間、目の前の手スリがパッと消えて、白いスーツ姿の
「おっ……わわわわーっ!?」
反射的に何かに取りすがろうと両手をもがくが、むなしく空気をかくばかり。
「いや待て落ち着けオレ! これは夢、オレの
つぶやきながら、「パチン」と指を鳴らす。
とたんに、
けれども、槽内には水が入っていない。
硬いコンクリートの底に全身が叩きつけられそうになる直前、
すると、プールの中は、赤い色のゴム風船でいっぱいにあふれかえった。
パン、パン、パン……と、いくつか風船が割れる音が軽やかに
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