2-9
次に
ふたつの布団の間に、2人の手が重なった格好だ。
それから、サッと横を向き、彫りが深く
「ボクの"気"が抜けたら、すぐに
「…………? 『気が抜ける』とは、いったいどういう意味……」
警部の問いかけを無視した
「
……
そう唱えてから、笹の葉に「フッ」と短く息を吹きかけた。
そして、
「オン・シュチリ・キャラロハ・ウンケンソワカ、
オン・シュチリ・キャラロハ・ウンケンソワカ、
オン・シュチリ・キャラロハ・ウンケンソワカ、
……」
と、素早く何度もささやき続けた。
そのうち
「たった今、
「な、なに……?」
「ボクも参りますので。あとは頼みます」
そう言うなり、美しく正座したまま目を閉じると、
「
と、歌うように口ずさんでから、「フーッ」と、今度は長く静かに目の前に息を吐く。
すると、わずかに軽く開いた綺麗なクチビルのスキ間から、真っ白い気体がフルフルと揺れ動きながらただよい出て、丸く固まった。
野球ボールほどの大きさの球体に整えられた、濃密なケムリのカタマリそのもののようだ。
ポカンと目を見開く犬丸警部の目の前で、それは、迷いなく
そして、球体がパッとはじけて霧散すると、ケムリは笹の葉に吸い込まれて消えた。
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