1-2
向かい合って立つ2人の少年の美貌と、均整のとれた体型は、鏡で映したように良く似ている。
しかし、赤みがかった明るいトビ色の瞳の
それに、高校2年でドロップアウトして以来、実質ニートのヒキコモリ生活を続けている
地鎮祭といっても、いわゆる新築のお祝い事のソレとはちょっとオモムキが違う。
『大島ナニガシ』とかいうサイトで検索されるような
なんなら地図にも載らない山奥の古い旧村なんぞに、重いリュックをかついで道なき道を分け入り
うりふたつの顔と体を持つ一卵性双生児にも関わらず、その名のとおり陰と陽のごとく相反する個性をあからさまにする2人は、性格もまるで違う。
「ったくもう……場違いだっつーの、そんなカッコ!」
と、さっきのセリフを再び吐き捨てるや、端正な白い手をヒラリと頭の上にかかげるなり、長い指を「パチン」と軽く打ち鳴らす。
とたんに、双子の衣服は、洗練された
同時に、ザワザワとしたアイマイな
ハチャトゥリアンの『仮面舞踏会』……
壮麗で幻想的なメロディーに、自然と心が妖しく騒ぎだす。
ポカンと目を大きくした
それから、トビ色の大きな瞳を、めくるめく冒険への無邪気な好奇心でウットリとキラめかせながら、
「夢の世界をエスコートするのは、オマエじゃなくて、オレの領分。さあ行こう、
と、双子の弟の手をつかみ寄せた。
真っ白くツヤめく革靴をはずませて、軽やかに足音を響かせながら、2人は、不思議な舞踏会に妖しく笑いさざめく華やかなウサギたちの間を駆け抜けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます