夢迷宮のウサギたち
こぼねサワァ
1-1
一瞬のマタタキの合間に、ふっと軽いメマイを覚える。
カラダが宙に浮かぶような、それとも地面に沈みこんでいくような……
フワフワしておぼつかない、いつもの感覚。
直後に周囲を見わたせば、そこはもう見たこともない異世界……のはずなんだけど。
「あれ? なんか見覚えあるかも、ここ……」
長いマツ毛を密にまとったアーモンド型の目に浮かぶトビ色の大きな瞳が、こぼれんばかりに見開く。
そこは、だだっ広い吹き抜けの大広間のド真ん中。
中世の西欧風の壮麗な舞踏ホール。
窓の外は、晴れとも曇りともつかない白けた空に、うっそうとした森林が広がっている。
木漏れ日が窓ガラスを通して、とりとめのない光彩を屋内にふりそそぐ。
ポロンッ……と、ふいに、デタラメに五指を
たちまち、ザワザワとした人いきれが場を満たす。
ハッとして、もう一度あたりを見わたせば、さっきまでは無人だったホールに、見目うるわしい舞踏会の客が大勢おもいおもいの場所に立って、パートナーと談笑している。
みんなそろって黒い蝶タイと
「ウサギの仮面舞踏会? ふうん。キライじゃないよ、こういう
「……けど、このカッコはさすがに場違いか? 着替えなきゃ」
と、アメコミのヒーローのイラストをプリントしたヨレヨレのTシャツと、穴だらけのジーンズをまとった自分の姿をみわたして、サラサラした黒髪をバツが悪そうにカキ乱した。
そのとき、背後から思いがけず声がした。
「ねえ、
甘ったるく乾いた響きのある
その声だけで即座に相手をさとった
「
「
「それは、さっき聞いたけど……!」
「彼の夢の中にまで、瘴気が
浮き世ばなれした天然仕込みのマイペースにアテられて、いまさらながらに、
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