第3話 本来の僕

次の日の朝、

「瑛太ー?朝ご飯、もうできたわよー。早くしないと学校に遅れちゃうよ。」

母はそう言いながら僕を起こしに来た。

「僕、もう学校行かない。行っても笑われて辛いんだ」

目覚めたばかりの汚い声でしばらく母を説得しようと自分の心情を伝えた。母は困ったような、悲しそうな顔をして

「…そう、気づかなくてごめんね。今日一日休んでみようか…少しは楽になるかもしれないし…」そう言って母は学校に電話をし始めた。

「今日はお母さん邪魔しないからね」と数千円お金を置いて、出かけて行った。

家にいるのもなんとなく嫌だったので近くの小さな公園に向かった。

僕はその小さな公園がお気に入りだった。きれいな芝生が踏み入れた者をやさしく迎え入れてくれるような気がするからだ。そんな芝生に寝転んで空を見上げる。何もかもが許されたような気分だ。

だけど太陽は僕の体を焼いていく。僕はアイスが食べたくなった。

僕はコンビニでソーダ味のアイスを買って口の頬張った。冷たい爽やかな味が喉に入って行く。

しばらく時間が経って僕は映画を観ていた。女の子が学校で虐められて、不登校になって自傷をしているシーンが流れた。その子は手首を切ったり、沢山薬を飲んだりしていた。僕もそのくらいは知っていた。だけど後遺症が残ったりするかもしれないからやらなかった。そんな時、女の子が喉に手を入れてトイレに吐いているところが流れた。僕に衝撃が走った。吐くのならあまりバレない、、吐いている時は辛いことを忘れられるかもしれない、僕はそう思った。その後の映画の内容はあまり覚えていない。家に帰ってトイレに突っ伏した。なかなか吐けない。しばらくえずいていたら今日過ごした時間が出てきた。僕は長いあいだトイレに顔を向けていた。

ドアが開く音がした。母が帰ってきたのだ。急いでトイレを流して換気扇をつけた。

「今日は何したの?」

にこにこしながら母が問いかけてくる。

「映画…映画を見たんだ。」

「何の映画見たの?」

「ほら、あの最近出た…」

母はずっと笑顔だった。恥ずかしながら僕はお母さんが大好きだ。

いつも僕に笑いかけてくれて、僕が困っていると助けてくれる。だから大好きなんだ。きっと今回もお母さんが何とかしてくれる。きっと…。

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