第2話 他の人達

やっと発表が終わり、僕を含めた同じ学年の人達がぞろぞろと教室へと向かっていく。先生には何も言われなかった。安心しながら階段を下りていると

「おい瑛太~。お前、先生となに話してたんだよ~。」

クラスで一番うるさい松谷くんが話しかけてきた。話したことはほぼない。

僕の中での関わりたくない人第一位だ。

「いや、別に…松谷くんには関係ないよ…」

と言うと松谷くんは僕に聞こえるように舌打ちをして、ほかの友達の元へ行ってしまった。

 ふと周りを見ると同じクラスの女の子が僕を冷めたような目で見ていた。

きっと叱られてたんだよ、うわぁ、といわゆる『がーるずとーく』というものをしていた。この人たちは先生に怒られたことがないのだろうか。

僕は頭が重くなってきて、ここにいたら倒れてしまうんじゃないかと思い、階段を早足で駆け下りた。


つぎの授業は数学だった。僕の苦手な教科だ。

授業が始まりしばらくすると先生が

「じゃあ次は…神田、お前言ってみろ。」

当てられてしまった。どうしよう、ここの問題まだ解けていない。

「ま、まだここ解けてません。」

先生は「そうか」と言って他の人を当てた。

周りからは色んな笑い声がする。恥ずかしさを隠すように教科書で顔を隠した。


授業が終わって僕は逃げ込むようにトイレに駆け込んだ。

いつからこんな風になったんだろう。

保育園に通っていたころはみんなと普通に過ごせていたはず。ひそひそされることもなかった…、そうだ。小学校に入ってから変わり始めたんだ。それ以来僕はずっと独りぼっちだ。理由はわからない、みんなとそう変わらないはずなのに。もう嫌だ。こんなに苦しいのならもう学校になんて行かない。泣きながら僕はそう決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る