僕は。
風信子
第1話 気付き
僕は今体育館に並べられた椅子に座っている。
みんなゲストでやってきた人の発表を集中して聞いている。
だけど僕はみんなの様に集中できなかった。おなかの底がむずむずしてたまらない。
立ちたい、歩きたい、動きたい。
しばらくもぞもぞしていると僕の担任の先生が
「どうしたんです?先ほどから…」と
話しかけてきた。だけど何も耳に入らない。知らない言語を聞いている気分だ。
すると先生に別室に連れていかれた。
やっと疼きがおさまった。先生が話しかけてくる。
「お話が始まってずっともぞもぞ動いていましたが、何かあったんですか?」
僕は別にずっと動いていたつもりはなかった。おなかのむずむずが限界に達しそうになった時だけにおしりの位置を少し動かしていただけなのに。
「おなかの底がむずむずして、居ても立っても居られなかったんです。」
あまり上手に表現できない。他の人にもこの感覚はあるのだろうか?
「それは貴方が集中していないからでしょう?ちゃんと集中して聞きなさい。次ずっと動いていたらどうなるかわかりますよね。」
分からない。何をされるのだろうか。
親に言われる?校長先生からの呼び出し?
そもそも動かないという自信がない。どうしてみんなじっと動かずいられるのだろう。そのまま先生に促されるままに体育館の自分の席に戻った。
やっぱり落ち着かない、だけど頑張って耐えた。
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