第4話 心配
あれから1週間くらい学校を休んだだろうか
僕は毎日吐いていた。
母は「親がいたら気使うでしょ、」と出かけていてくれた。僕は外に出るのが面倒になっていた。必要最低限の生活、勉強はする。ある程度勉強が終わったら僕はひたすらトイレにこもっていた。嗚咽を繰り返して、今までの辛い思い出を吐き出す。苦しいはずなのになぜか心地よかった。
とある日、いつものように母が元気に出かけて行く、その姿を見送った。その途端僕は急に苦しくて悲しくなった。吐かなきゃ、吐かなきゃ!
駆け足でトイレに向かう。口に手を突っ込んで泣きながら激しく嘔吐く。
ドアの開く音がした。
「お母さん忘れ物しちゃった、あれ?瑛太?」母の声が聞こえてくる。
どうしよう。普通なら辛くなったら吐こうとはしないだろう。どう言い訳をすればいいのか、僕は考えることが出来なかった。
「瑛太?大丈夫?」トイレのドアが開く。口に手を入れたままだ。やばい、やばいやばいやばい。
「瑛太!何してるの!?」
…………
気がつくといつものベッドの上にいた。
隣には崩れた顔をした母が座っていて、僕に話しかけてくる。
「お母さん、瑛太が眠ってる間に色々調べたの。最近瑛太が痩せてるな、とは思ってたよ。だけど出してるとは思わなかった。」母は淡々と言葉を連ねる。
「瑛太の口から私は今まであった辛いことは話してくれてたからどうしてあんなことしてたのかは分かるよ、責めたりはしない。」
ごめんね、僕はそう言いたかっただけど僕の心が口を塞ぐ。音を発せない。
母は僕が思っていることを分かっているようで話さない僕を許してくれた。
その後たくさんのことを話した。
なぜ吐く行為に走ったのか、今までの我慢できないのは何なのか、母は僕が話すこと全てを聞いてくれて、否定せずアドバイスをくれた。僕は後日病院に行くことになった。
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