跋文-epilogue-

Leona's Apocalypse

 あれから。

 パブロ・スカルトバッハ、クロウリー・グレンラスカ、クレイ・ランゲルガリア。

 この三名が中心となって、脱レオナ施策を推進。手始めにレオナ至上主義であった通常教育へのテコ入れと、プリメール大聖堂にてグレンラスカ司教による月に一度の説教がおこなわれるようになった。

 クレイへの嫌疑は、御三家内での示談により双方納得の上、棄却。

 司教の素質に疑問を持たれていたクロウリーも、パブロからの𠮟責により更生。名ばかりだった御三家も、いまではパブロを筆頭にたのもしい三人衆として君臨している。

 とはいえ、じっさいに各地区民と触れあい、民の不安を拭ってやるのは地区兵団の仕事である。彼らの活躍も忘れてはならぬ。ただし詳細を語るには彼らの活動の幅はあまりにも広すぎる。

 とてもじゃないがこの跋文には書ききれまい。

 ただ、此度の一件により殉職した由太夫の武勇を称え、蓮池がセント・フランキスカの広場にひとつの種を撒いた。いったいこれがなんの種か、彼以外はつゆほども知らぬ。


 民はいま、日々を懸命に生きている。

 手探り、足探りのすえ、自身の選択によって一日を歩む。

 それが積み重なり、エンデランドもまた一日、歴史を刻む。


 あの日、あばら家を飛び出した。

 胸に湧き上がった衝動が、わたしをこの地へ連れてきた。

 そしていま、わたしはまだ、ここに居る。


 レオナの黙示録たる世界が終わり、

 未知なる先へと歩み出した世界を見届けるために。



 Excerpt from ”Leona's Apocalypse” Epilogue

 Written by Ferio Amverse





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レオナの黙示録 乃南羽緒 @hana-sakura

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