第40話 拒絶の国
村の長老、
その時、若い村人は遠巻きに無言でずっとみている。
その目はとてもひややかだった。
(仙人に対しての嫌悪ではない感じだな......余所者だからか)
「
ありがとうございました仙人さまがた。
いなくなったので何とか探そうとしておったのです」
そう
「ですが、お腹が減ってるはずなのに、
一向に渡した食事に手をつけないのですが」
「この国のものは......人からものをもらうことは、
幼い頃から強く禁止されておるのです。
破れば他のものから、異端と見なされ叩かれるため、
我慢しておるのでしょう......
......
「弟の
「なぜ、ものを受けとるのをそれほど拒むのですか?」
「最低限の誇りなのでしょうね......この国にはなにもありません。
お金も物も何もないゆえに、
精神性に頼るしかないのでしょう。
私もなんとか村長になって村人を諭そうとしましたが、
幼き頃より与えられた考えを覆すことはできませなんだ」
そういって深いため息をついた。
「まあ、気持ちはわかる......俺も貧しい出だから、
豊かな奴らに対して人間としては負けてねえ。
そんな気持ちになったことはあるからな......」
静かに聞いていた
「そんなこと馬鹿げてるわ!誇り、名誉、
そんなもの生きていてこそよ!
死んだら何もならないじゃない!」
そういって
追って家の外にでると、
畑のしぼんだ野菜をとる。
そして、野菜からとった種を全ての畑にまくと、
気をいれ始めた。
「
すると、畑にまいた種が育ちみるまに畑に野菜が実った。
(全部の畑に気をいれるなんて大丈夫なのか!?)
倒れる
「無茶だよ!こんなに大量の気を使うなんて!
いくら仙人でも、死んでしまう」
「これでもう飢えないはず......」
村人たちは、それをみて驚いてはいたが、
誰もとろうとはせず、ただ見ているだけだった。
「皆のもの、仙人さまがくださった恵みなのだ。
皆いただこうではないか」
村長の呼び掛けにも周囲を気にして、顔色をうかがい
手を出すものはいなかった。
「村長、俺たちはもの乞いじゃないんだ。
例え仙人さまからの施しとはいえ、
生きていくに最低いるこの土地以外に、
受けるべきではないのだ」
一人の若い村人がそういって村長をにらむ。
そうだ、そうだと一部周りの若い村人も同調する。
(本人たちが望まない以上、ただの押し付けでしかない......)
「ふっざけないでよ......」
フラフラと
「
「あんたら、大人が自分で決めたことなら......
勝手に飢え死にしてもそれはそれでいいわ......」
見なさい、そう言って必死に我慢している幼い子供たちを、
「ただ、あんたらの誇りや自尊心で、
選択できない子供を巻き込むんじゃないわよ!!
子供が飢えたら頭を下げてでも助けをこうのが大人でしょう!
あんたたちは、子供の命より自分の面子が大事なの!!」
そう怒りに任せて吐き捨てた。
「仙人さまの言う通りだ......
まず、飢えた子供たちに、食べさせてやろうではないか」
幾人か以外の多くの村人たちがうなずき、
頭を下げ野菜をもっていった。
もらわなかった若者たちは、
こちらをにらみながら去っていった
「すみません......仙人さまにこのような失礼をしまして、
助けていただき、本当にありがとうこざいました」
「持っていかなかったものもいましたが......」
「ええ、あのものたちは......」
「どうしたんだ?」
「最近、この国の若いものたちが、
よからぬことを企んでいるのです」
「よからぬこととは?」
「......過激な若いものたちが武器を持ち、
他国へ戦いを挑むのではという話でして」
「戦争も何も、武器もなんにもないだろう」
「実は......少し前に天から仙人さまが降りてこられて、
若いものたちに何かを吹き込んだらしいのです」
(
「力を貸すですか......」
「はい、『お前たちは他者に頼らず生きる誇り高き者たちだ。
ゆえに力を貸してやろう』
そう言って
気の使い方を与えたそうです。
その言葉に違和感を感じた一人が、逃げて伝えにきました」
「他の力は借りないとかいって、
「それで、その仙人とは」
「確か......
僕とコウは顔を見合わせる。
「
「
恐れていたことはこれだ......」
村の外は、吹雪が人の叫び声のように聞こえていた。
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