第36話 世鳳《せおう》
「廃墟だな」
「爆発でもあったようだね」
そこは多くの建物が崩れ、廃墟となっていた。
昔ほ美しかったであろうことが、
町の配置や残った家の壁の色彩などからみてとれる。
「あれ?
「さっき、
なまりがあるっていってたけど、もしや......」
「ええ、私もこの
そしてゆっくり話し始める。
「......私は爆発があったあと、この廃墟のなかから、
弟子にしてくれたの」
そう沈んだ声で言う。
「
「それでも......
私の国に、危害をくわえたなら許さない!
炎はこの先を指してるわ!行くわよ!」
「みゃう!」
眠ってたはずのコマリが鳴いた。
(この気は......)
「気づいてる?」
「ああ、コマリの鳴き声で気づいた......」
「ええ、何者、ここまで気づかないなんて......
でも仙人じゃないわね......」
複数の人間に囲まれているようだ。
だが周りに人の姿は見えない。
(コマリにいわれるまで気づかなかった......
気を感じづらい、仙人でもない気を遣える人間?)
「姿を見せなさい!わかってるんだから!
でてこないのなら!」
そう
着物の上からまとっていた羽衣が大きくなっていく。
「
その衣がフワリと広がり空をおおうと一気に地面に落ちる。
ドゴオオオン!!
轟音が響き、地面が揺れた。
「うわぁ!!」
姿の見えなかった者たちが叫び、逃げる足音がする。
その一人が転んだのか黒い衣を落とすと突然姿を現し、
こちらをみて怯えながら逃げていった。
「逃がすと思ってるの!」
「待って!」
僕が
「何よ!逃げちゃうでしょ!」
僕は落としていった大きな衣を拾った。
「なんだそれは
「これを落としたとき、姿が見えたんだ」
僕が気を流すと、その黒い布は透明になった。
「これなに!?」
「姿を消す
「つまり、仙人か道士が関わっている......
「それにしても、
あれだけの
元々どこかにあったものを手に入れたのかしら、
でなければ複数の仙人か道士が関わってるってこと、
道士になれるほどの者がそれに荷担するなんて......」
「
「ああ、気を自在に扱え、
更に使用者の気で扱えるように作るわけだからな。
時間も労力も途方もなく必要だ。
俺の
元々あったものを
「なるほど、そんなに希少なのか」
僕は水如杖をみて、
「まあ、炎の印はあるから、ゆっくり追いましょう。
......それより、さっきの見せて」
「ん?さっきの」
「ほら、丸いかわいいの」
「ああ、コマリのこと」
僕がコマリを懐から出す。
「きゃう?」
「かわいい!!これ
コマリをだきながら、
「うん、
魔獣を
「
「ああ、僕の師匠だよ」
「それにしても、たった二年足らずで、そんな力を持つなんて、
「二年!? くぅ、私ですら、
まだ
ずいぶん生意気ね......」
なぜか悔しそうにこちらをにらんでいった。
「でもコマリは気の感じないあの人たちに気づいていたな」
「元々気から生まれた
私たちより気を感じやすいのよ。
だから、少ない気でも感じられたのね。ねー」
コマリを撫でながら
きゅーんとコマリは嬉しげにないた。
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