第35話 桃理《とうり》
「その
「わかりません。ただ旅の仙人さまだとしか)
「そいつの風貌は」
「確か、銀髪の男だとか、それがなにか?」
(やはり......)
僕たちは
「なんと......
確かにその仙人さまの
この国は疫病から守られたのですが......」
「ほんとにそうかな?」
「どういうこと
「ここが
お陰でここが作ったんじゃねえかと疑われてもいるだろ」
「むう、それならば、わざとここでの流行を抑えたと......
この国の評判を落とすために......」
「とりあえず
会わせてください。何かご存知かもしれませんし」
「そうですな」
そういって足を早める。
王宮奥につくと、大きな扉の前にきた。
「
仙人さまがお会いしたいと参っております」
「入って、
中から、若い女の声がした。
(女の子の声......)
真ん中の寝具の台に、桃色の髪の一人の女の子が座っている。
「これは
「わからないわ。修行から帰ったらもういなかったのよ。
で、その二人は仙人なのね」
「ええ、僕は
あなたは......」
「私は
我が師、
「実は......」
僕たちは知りうることを伝えた。
「ふーん、あの
確かに、怪しいかったもんね」
「知ってるんですか?」
「
あの銀髪、顔はまあまあだったわね。私の趣味じゃないけど」
そんな風に思い出すようにして話をしている。
「それで何者ですか?」
「目的はわからないけど、
この国に配布していたわ。
そして
「こいつが
間違いないな。ここに罪を擦り付けようとしたのかもしれん」
「ああ、でも犯人だとして、
なんのために疫病なんか広めているんだろう?」
「まあ、なんだっていいわ。
あんたたち、ついてらっしゃい」
そういって
僕と
「えっ?ついてこいって?」
「
事実を吐かせるに決まってるでしょ!さあ、行くわよ!」
そういって懐から一枚の葉っぱを出す。
大きくなったその葉に飛び乗り窓から飛び出した。
「あれは仙術か、どうする
「なにかあてがあるのかもしれんな。
ついていってみるか」
僕たちは
空を飛び追い付く。
「ふーん、あなたたち、
そっちは道士ね」
「お前も道士だろ」
「違うわ。私は道士でいるだけ、
陰陽の気で仙術も扱えるから仙人と同じよ」
「だったら何で道士のままなんだよ」
「仙人になると名前に、
私は
「......そんなことで仙人になってないの?」
「そんなことって何よ!!
私の名前は服や髪飾りより大切なの!」
そうむきになって僕に怒った。
「僕は仙人だけど
「それは、誰も知らないからでしょ、
あんたと違って、私はこの国では有名なのよ」
そういって胸に手を当て胸を張る。
「まあ、そんなことはどうでもいい」
「どうでもいいってなによ!!」
そういって
「......それより、あてはあるのか
「ふふん、まあね。
探るよういわれたから調べてたら、
あいつ目の前から消えたの。多分仙術ね」
「逃がしたの?」
「べ、べつに逃がしたわけじゃないわ。
もう追う必要がなかっただけ、
だって、あいつに目印をつけたからね」
そういうと、指先に炎を出した。
「これは
あいつのいる方向に向かって教えてくれるわ。
多分、
あいつ、そんななまりがあったし......」
「
「東にあった古くからある小国だ。
何年か前に王都が一夜にして失くなったっていうな。
仙人に滅ぼされたんじゃないかって言われている」
「滅ぼされた......それどういうこと?」
「ああ、一夜にして町を滅ぼせる力を持つのは、
仙人ぐらいだからな。
そうか、そこの生き残りなのか」
「......その生き残りだとして、
それでなんで疫病なんか流行らせるのよ?」
「仙人の国である
おのずと仙人への敵意や憎悪がふえる。
世界に排仙党みたいな人たちを産み出せるからかも」
僕がいうと、眉をひそめ
「確かに......十二大仙人に武力で勝てるわけないものね。
可能性はあるか......」
「多くの犠牲者を出してまでか......」
「まあ、会ってみて本人に聞くしかないね」
僕たちは
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