第31話 巣くうもの
「
地面から鋭い植物の根が飛び出してきた。
周囲の家臣は叫び逃げ惑う。
「
僕は気の壁でそれを防ぐ。
「止めろ
いくら
未熟なお前では軍隊相手では殺されるぞ!」
「それぐらいの覚悟はある!
町の外に武装した奴らをおいている。
俺が王を殺せば、奴らは軍をたたく!」
「お前だけではない!
これを好機にあの区画の住人は同罪として殺されるぞ!」
「それがどうした!!このまま放置されても結果は同じ!
あの場所は元々存在すらしてねえ!
生きてないのとおなじなんだ!
あそこを捨てたお前が言う資格があるのか!」
「くっ!
だが
「さすが仙人だな
お前がわざわざ持ってきてくれたこれがな!」
そういうと剣を地面にさした。
「
すると地面から巨大な球根の芽が育ち、
大きくなると、いくつもの首を持つ木の龍が生まれる。
その龍は次々こちらに向かって襲ってくる。
何度倒しても次つぎ首がはえてくる。
「くっ! これじゃ!」
「
球根を破壊しないときりがありません!」
(だが、この龍、再生力も速い!王を守りながらだと、王は......)
王の方を見ると、王はにやついてこちらの戦いをみている。
(!?)
「いや、今はいい!まずあの龍を何とかしないと、やはり......」
「
僕は水球を作ると龍に投げる。
「そんな水じゃ、効きやしねえよ!!」
水は龍の首に吹き飛ばされる。
(ぐっ!でも......)
僕は水を気で変化させた。
「
「
火球を作り龍に打ち出した。
「そんな火でこの龍が焼けるかよ!」
そう
当たった火球は瞬く間に業火となり、
球根まで伝わって燃え盛った。
「なに!?この匂い油か!!水を油に変えた!?だが!」
その時、
「しまった!!」
僕が王のもとに翔ぼうとする。
ガキッ!!
その時、金属音が響いた。
「なに!?斬れない!!!」
王の身体は鈍い銀色となり樹界剣を防いでいた。
「ふ、ふふふ、あっはっは!」
突然、王は笑いだす。
そして身体は銀色のどろどろになりその姿を変えた。
そこに現れたのは銀の扇を持つ黒い肌、銀の髪の女性だった。
「お前仙人か!!」
「わらわは
「王に成り代わっていたのか!」
「そうよ。わらわが王になり、
この国をよき方につくりかえていたの」
「何のためにだ!!」
「わらわの師、
そういいながら目を伏せた。
「
でも確か大乱で死んだのでは、
確か
僕がそう言うと、
こちらをにらんだ。
「そうよ! あの方は綺麗で完璧な方だった。
人間を救おうとその優しさから、
そういいはなった。
「......あの方を失ってから、ずっと仙島でこもっていたわ。
でも
だからわらわが、人間どもを管理して、
綺麗な世界を作ろうと思ったの」
「で、では王は」
周囲の大臣たちはそう聞いた。
「殺したわ。美しくないもの」
「なっ!?」
「この国の富を牛耳り、私欲を肥やすだけの豚よ。
いない方がよかったでしょ」
「この仙人を討つのだ!!」
王宮の衛兵が周囲を囲んだ。
「うるさいわね。次からつぎへと汚いものがわいてでてくる」
「
そう
倒れた
どろどろの銀色の液体となり、周囲の兵たちをのみこむ。
「
僕が聞くと、
「ええ、そうよ。
腐食しない、つまり腐らず永遠の輝きを持つの」
(
それを扇で受け止め弾いた。粉が舞う。
「ふふ、道士風情がわらわを斬れると思ってるの?」
「くそっ!なめやがって!」
「
ソウリュウセンが言うと、青い花が一面咲き、
周囲に青いもやがかかった。
「
「
「あの身体、
普通の剣ではほんの少しの傷しかつけられません。
何か弱点があればいいのですが」
「確かに......金属の身体か......しかも多分あれは......
とても二人では倒せない......」
「なら俺も加えろ......」
もやの中から
「
「こうなってはやつを倒すしかない
「ええ、三人でやりましょう」
僕は話すと二人に離れてもらい、
「ふっ、仙人の癖に、目眩まし位しかできないの。
ずいぶん情けないわねえ」
もやを扇で吹き飛ばした。
そして
大量のどろどろの金属が拡がってくる。
「
地面から柱のように炎がたち、
「道士にしては、ましな術ね。
でもこの程度の炎で私の金属が溶けるわけないじゃない」
「
僕は大量の巨大な水球を打ち出し、それが割れ炎を消した。
「なに、なぜ消した......」
「
つづけざま
無数の巨大な黒い鉱石のドリルが地面から伸び、
「うっとうしい!」
ドリルを扇で弾き砕くと、キラキラと粉が舞い、
砕かれた鉱石はどろどろの金属の中に落ちる。
「ふん、大方、金属を熱して冷やし脆くして砕こう、
とでも思ったのでしょうけど残念ね。
せいぜい
ほんの少し削るのがやっとね」
そういって
(まだ足りない......)
「少し聞きたい。
あなたは
「僕は
「誰よ?」
「
「知らないわ。
でもあの病で、この国から汚いものを消し去ろうとしてたのに、
まだ生き残りがいるなんていまいましいわ」
そういって
「だけど、お前たちを殺してから、
重臣、兵士殺しの反逆罪として、
あの区画ごと消し去れる理由ができたわ。
これでこの国はきれいになるわ。
そう、うっとりとして扇をほほに当てた。
僕は
下から地面を斬りながら
「無駄よ!さっさと死になさい!」
そういって
僕の剣を粉々に砕いた。キラキラと銀粉が舞った。
「みんな!離れて!」
そう叫ぶと、僕は火を
「なに、そんな火なんかで逃がすわけ......」
すると轟音を伴い
強い光と爆発のような火柱が上がる。
「なにこの火!?消えない!!熱い!!」
一瞬で蒸発し水蒸気が辺りを包む。
「きゃああああああ!!」
叫びが轟く中、炎に包まれた人型の黒い姿は、
あっという間に見えなくなっていった。
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