第9話 陸依《りくい》
町から出て人がいなくなるところまで来ると、
突然ギョロ目の男が膝をおると平伏する。
「すみません仙人さま!仙人を名乗るなどという無礼をして、
何とぞ
この二人はお許しくださいませ!」
先程止められたからか、
(何かあるのか......)
「なぜ仙人を名乗り、薬を売っているんですか?」
僕が問いただすと、
そのギョロ目の男は怯えた目で話し出した。
「私は
元々、西の
ある時、道士さまに出会い、その弟子となりました」
「道士......仙人を目指す人か」
「はい......そして私はその道士、
仙術の才なく、唯一できたのは薬の精製だけ......」
(あの薬、この人が作ったのか)
「そこで、
この見てくれゆえ、誰も買ってくれず店はつぶれました」
(見た目か......まあ、お世辞にもイケメンではないけどひどいな)
「......夢破れ、いきる気力もなく日雇いで、
方々をさまよっている時、
この
この子は知恵遅れゆえ、両親亡きあと、
貧しい村では引き取り手もおず、捨てられたようでした」
(障害が......それであんな幼い感じなのか)
地面に座ると木の枝で土に絵を描いているようだった。
「
その時、
「ある時、私の村は疫病が流行りました......
そして私の身も病に侵され、身よりもない私は、
死を待つだけになった時、
助けてくれたのです!
「いいんだ
それにもうけようとした下心もあった......」
「でも......」
「......この薬、ちゃんと作ってるの?」
「それは天命に誓って!」
(嘘をついてる感じでもないな)
「確かに気を感じるし......じゃあ、なんでこんなに安いの?」
「人を騙しているという後ろめたさと
安くないと貧しい者は買えませんから......」
(この額と見た感じからみて、そんな儲かってそうにはないな)
「それで仙人さま!この二人のことは許していただけますか!」
(悪い人じゃなさそうだし、でも......このままじゃな)
「まあ僕は役人じゃないし、罪を問うことはしないです。
もちろんあなたのことも」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
地面につけるぐらい頭を下げた。
「でも......これからどうするんですか?」
「正直、もう続けはしません......バレたことで思いしりました。
いずれバレて、この二人に罪が及ぶかも知れない......
本当に申し訳ございませんでした......」
そう
立ち去ろうとした。
「待って少し話がありますから」
「はあ、は、話ですか......」
不安そうに
「何処かに薬のお店を出したらどうですか?」
「えっ?薬屋を......いえ、でも、前に潰してますし、
そんなお金もありません......」
「今度は、ほら
薬だけ作って人を雇えばいいでしょう。
お金は僕がだしますし」
「いいえ!とんでもない!!
仙人さまにお金をいただくなんて!」
「このまま、二人を養えるのですか?
あなたが亡くなったあとは、
特に
枝についた虫をじっと見ている
不安そうな顔している。
(なぜだろう?ほっとけない......
「それにお金をあげるわけじゃない、取引したいんです」
「取引?」
「ええ、僕は仙人になって日も浅くなにも知らない。
あなたが師匠の道士から得た知識を僕に教えてください。
それが取引です」
「私の知識を......そんなものでいいんですか?」
「ええ」
「よろしくお願いします!
私の知りうることをお伝えします。
薬で人を救いたいのです!私に力をお貸しください!」
「ま、まず頭をあげてください!あなたが先生なんですから!」
僕は
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