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『月御門神社』の総本殿は富士山麓にあるので、ここ榛名はるな 月御門つきみかど神社は、国内にいくつか点在する分祀ぶんしのうちの一社にすぎないが、じゃっかん17才にして宮司をになう陽向は、

「榛名のところの祭守さいしゅは、若いのにミドコロがある」

と、月御門一族の間でも一目おかれている期待の新星なんである。


『祭守』というのは、 月御門神社の宮司にのみ与えられる独自の呼称であり。

そもそも、月御門家の起源ルーツは、陰陽師おんみょうじの代名詞ともされる安倍 晴明あべのせいめいを輩出した陰陽師界の名門『土御門つちみかど』家の始祖にあたる。


『かぐや姫伝説』とも深い因縁があり、月御門家に受け継がれる伝承によれば、かぐや姫の昔話に登場する「みかど」こそ安倍 晴明その人だと目されている。

あまつさえ、かぐや姫の正体は「影夜姫かげやひめ」という凶悪な荒神あらがみとされ、月御門神社の総本殿には、影夜姫かげやひめ荒魂あらたまを封印するほこらもある。


月御門神社の役割は、安倍 晴明が富士山麓に結界をはって封印した荒魂のほこらを代々守り続けるとともに、現世にはびこる数々の魑魅魍魎ちみもうりょう調伏ちょうぶくすることだ。

そのため、祭守の最若手たる陽向にも、いっぱしの陰陽師として数々の調伏ちょうぶく呪法じゅほうをあやつることが求められている。


かたや、高校を1年あまりで自主退学ドロップアウトして以来、「夢催眠カウンセラー」などと自称しつつ実質ニート暮らしを満喫まんきつ中の双子の兄の千影ではあるが、他人の夢の中に入り込み、その世界に干渉かんしょうさえできる異能の力を生まれつき持っていた。

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