第6話 背徳感と、求めたがる欲望
K先生との突然のファーストキス。
家に帰ってもドキドキが止まらなかった。
何だか、後ろめたいことをしているような気がして、親にもどこかいつもより変に接してしまった気がする。
それでも、心のどこかで、「私もオトナの仲間入り」みたいな気持ちが芽生えたのも確かだ。
K先生とのファーストキスの後も、私たちは変わらずだった。誰もいない教室。
いつものように勉強を教わる。
少しだけ違うのは、手と手だけじゃなく、唇と唇が触れ合うようになったことくらいか。
お互いを求め合うようにキス。
もしくは、お疲れ様、の小鳥のようなキス。
そして迎えた定期テスト。
私の点数は着実に伸びていた。
ほぼ8割〜9割の点数を取って、学年順位も格段に上がった。
これには私も親もびっくりだ。
K先生のおかげだろうか。
金魚のフンのように付いて回った結果が報われた。
K先生は、もちろん喜んでくれた。
そう、そのためにも私は勉強をあんなにも頑張ったのだ。風邪を引いてまで。
今回の定期テストで得たのは、風邪と、成績アップ。そして何よりも、ファーストキス。
もはや教室の中だけではなく、普通に人がいる事務室の中でもK先生はたまにキスをしてきた。
本棚の裏側とか。
給湯室で、とか。
そんなシチュエーション、ずるいよね。
だって、ドキドキするに決まってるし。
どこかいけないことをしている背徳感。
でも、それを求めたがっている欲望のせめぎ合い。
私は、その時から、どこか沼にハマりつつあったのかもしれない。
K先生という沼に。
でも、成績も上がってるし、まぁ結果オーライか。
だって、この時の私は純粋無垢、まっさらな中学1年生。
そしてK先生に恋をした。
もちろん初恋と言ってもいいだろう。
恋だの愛だのなんてわからないけれど、当時の私は盲目的に、K先生を求めていた。
そして、馬の鼻先にぶら下げられた人参を追うかのごとく、勉強を頑張った。
大好きな人に、喜んでほしい、褒められたい。
その一心で。
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