第18話 依頼 ④

追手を撃退した少女。


あり得ないほどの力を発揮した。

彼女が主と呼んでいるフェンリルの力を除いたとしても、彼女に対抗できそうなのは、王族の一部だけかもしれない。

探し人は彼女で間違いないだろう。


例え違ったとしても、野放しにはできそうもなかった。


力以外にも、薬と怪我の治療だ。

致命傷だと思った怪我が短時間で完治し、死者の蘇生と思われる力も発揮した。

これだけの薬の知識と作成能力。

更に魔力を使用した治癒能力。


そんな力を見せた彼女だが、落ち着いたらそれまでの大人びた態度から年相応の幼さを見せてきた。


更に、仲間だと言った者達が妖精だった。

伝説でしかないと思われた、失われた存在だった。

長い年月を一人で過ごしていたようだが、妖精の庇護の元に暮らしてきたのだろう。

語彙力や知識、駆け引き等も、私達が全く対抗できないほどだった。


助けられた報酬を尋ねると、住処と名前が欲しいと求められた。

我々からすると、願ってもないことだった。


間もなく、此処は雪で閉ざされるだろう。

どうするか、早急に決めないといけない。

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