第15話 襲撃 ③
「主は私の友達だぞ?で、どうするこの男は?」
「…………処分してくれ。」
答えた男に頷き、主に、
「頼む。持ち物の回収もしてくれるか?」
答える代わりに咥えた男の首を噛み千切り、瞬時に死体と共に消えた。
「さて、報酬を決める前に終わってしまったな?アイツらの持ち物は全て貰うぞ。その他に何が出せる?」
「………状況が変わった。少し相談したい。二人だけにしてもらえるか?」
「いいぞ、母屋が壊れたようだから見回りしてくる。」
やはり、先程の攻撃で傾いている。もう、この冬は越せないだろう。私の力ではこれが限界だったか。
母屋に戻り、改めて尋ねる。
「望む物を可能な限り全て出そう。」
「太っ腹だな?そうだな、ここにはもう住めないだろうから平穏に暮らせる場所と名前が欲しいな。」
「名前?」
「物心ついたときにはジイジとバアバだけで、二人が居なくなってからは此処に一人で暮らしていたからな。名前で呼ばれたことが無いんだ。」
「………幼い頃から一人にしては言葉も達者で、色々な力も使えるようだが誰かに教わったのか?」
「山の仲間がいるから、一人ではないぞ?」
「先程のフェンリルも仲間か?他にもいるのか?」
「主は友達だぞ?仲間は………、あ〜丁度帰ってきたようだ。いったい何処へ行っていたんだ?心配したぞ。」
母屋の中をヒラヒラと舞う、蛍の様な………
「………妖精?…………だと!」
「?ジイジとバアバだ。実体がなくなってからも、こうしてそばに居てくれている。時々居なくなるんだがな。今回も居てほしいときに居なかったから困ったもんだ。」
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