第13話 襲撃

母屋に結界を張るとわかる者にはわかってしまうので、条件付きで発動するように掛けてみる。

小屋の方には、わざとらしく厳重に掛けておく。

私には殺気は感じられないので、まだ遠くにいるか手練れなのだろう。


粥と焼き固めた木の実の菓子を持って母屋へ戻る。


「食えそうか?先に食ってから返事を聞こうか?ゆっくりで良いぞ。」


回復薬が効いたのだろう。

二人とも起き上がってこちらを見上げていた。


「感謝する。返事の前に色々尋ねたいのだが?」


「後にしろ。食え、旨いぞ。それに、力も出るぞ。」


戸惑いながらも受け取り、食い始める二人。


「そうだ、これを返しておこう。」


拾っておいた袋を渡す。


「中々面白い袋だな?剣も入れてあるぞ。大きな物もスルッと入るのか。」


「なんだと!」


「取り出すだけでなく、入れることも出来るだと?あり得ん!」


唖然とする二人。


「簡単に出来たぞ?」


黙り込む二人。


「…………信じられん!」


「お前はそればかりだな?それよりも早く食え、これから忙しくなりそうだ。」


主から、動きがあったと知らせが来た。

二人、母屋に近付いてきていると。


『主、仕掛けてきたら、任せる。こっちは結界を張るだけで精一杯になりそうだから。』


近づく怪しい男二人を、私も捉える事が出来た。

力を溜めるのに集中しているようで、周囲への警戒がおろそかになっているのが感じられた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る