第12話 敵

「あ〜、丁度いい、お仲間が気がついたようだ。交渉は後だ。

さて、教えてもらおうか。」


気がついた男に白湯で溶いた回復薬を飲ませ、意識がはっきりとしたところで問い掛ける。


「ここが何処が分かるか?私とこの男がわかるか?」


軽く首を縦に振る。


「話が出来るか?」


今度は、首を横に振る。


「お前たちは何をしにここへ来たか、教えてもらえるか?良ければこの男から話せるようにして欲しい。」


少し迷ったようだが、男を見た後に首を縦に振った。


「だそうだ、教えてもらおうか?念の為に言っておくが、本当の事を言わないと二人とも追い出すからな?

何処から来た?誰に頼まれた?そして、誰を捜している?」


「依頼者との契約で、後の二つは話せない。」


「では、二人ともすぐに出ていってもらおうか。」


顔を見合わせる男二人。


「当たり前だろう!二人は襲われたのだろう?そいつらがまだ近くに居るんだろうから、すぐに立ち去ってもらえるか!関わり合いたくない。私がお前達を助ける義理はないぞ。

あ〜、助けた分でそれなりの報酬は貰うからな、薬も大分使ったしな。」


「………少しだけ二人で相談させてもらえないか?」


「少しだぞ?あと、これを飲ませておけ。すぐに話せるようになるぞ。その後にこの青汁も飲めるだけ飲ませろ。」


特別に効き目の強い回復薬と青汁を渡しておく。

ここまでの経過を見れば、素直に飲んでくれるだろう。

両方とも少しだけ副作用があるんだが、状況が悪すぎるから見逃してもらおう。


私がいると話しづらいだろうから、小屋へ戻るか。

まあ、飯ぐらいは食わしてやろう。

怪我人でも食えそうな物を用意していると、主から、


『殺意を向ける奴がいるが、どうする?』


「何か仕掛けてきたら、


念の為に、母屋に結界を張っておくか。

壊されたら困るからな。

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