第9話 嵐の後⑥
しばらく休んで、ノロノロと動き出す。
やはり、疲労感が強く出る。
実際には体は疲れてはいないんだけど。
精神を疲れさせるとでも言うのかな?
怪我や病気を治す時よりもキツかったな。
倒れている男の傍で、
「主、手伝ってくれるか?母屋に運びたい。」
近くに居なかったので、声に出して呼んで見る。
姿は現さなかったが、倒れている男は瞬時に母屋に移動していた。
「ありがとう!」
返事はなかったが、声は届いているようだ。
主は、色々な能力を持っている。
また一つ、新しい力を知ることが出来た。
いつも役に立ってくれるやつだ。
小屋へ戻り、怪我人でも食べられそうなものを探す。
回復薬を飲ませたあとに、粥でも作るか。
母屋で、驚いて硬直している男を無視して、移動した男の状態保存を解除した。
まだ暫くは、意識は戻らないだろう。
先に助けた男に尋ねる。
「聞きたい事が色々有る。先ず、何故ここに来た?」
まともな答えが返ってくるとは思わなかったが、聞いてみる。
「人を捜している。」
「何人で来た?その怪我は、何にやられた?それから、何処から来た?誰かに頼まれたのか?」
矢継ぎ早に、質問してみる。
「二人で来た。襲って来たのは魔物だったと思うが、暗闇ではっきりとは分からなかった。ここから山を五つ程隔てた街の依頼で此処まで来た。」
まともな答えが返らなかったら追い出すつもりだったが、素直に答えてくれたようだ。
まあ、本当かどうかはこれから調べるんだけど。
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