第2話 嵐の前に
いつもと違う風の雰囲気に、少女は尋ねる。
「バアバ、雨が来るんだよね?大雨かな?」
点滅する光を見上げ、
「そっか〜、屋敷から少し荷物移しとかないといけないかな?」
先日の嵐の後から雨漏りするようになった母屋のお屋敷。
当座に必要な物は小屋に移したものの、濡れたら困るものはたくさんある。
雨漏りの直し方は、ジイジも一緒にいる仲間たちも知らなかった。
知っていても、私一人では手に負えなかっただろうけれど。
あきらめて、今日の収穫の整理を続ける。
保存用の木の実を笊にあげ、そのままで良いものはかごに戻し、虫が付く物は錐で小孔を開けて囲炉裏の灰の中に入れて蒸し焼きにする。
あらかた終わったところで、程よく焼けた串焼き魚の良い匂いが食欲をそそる。
まだ夕飯には少し早いが、荷物運びは時間がかかりそうなので用意を始める。
囲炉裏に吊るした鍋に味噌玉を放り入れ、半ばまで焦がしたところで少量の水を入れ延ばす。
干してあった茸と先程取ってきた葉っぱのうち薬効の無いものを千切って入れる。
葉物から出た水気で軟らかく煮えたところで火から下げ、木の碗に注ぎ入れる。
干した芋と焼けた魚をかじりながら、今夜からの嵐のことを思った。
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