第21話
「動画はあたしにしか見えないようにパスワードを付けてあった。不特定多数の人の目につくようなやり方はしてない!」
「……じゃぁ、一体誰が……?」
あたしがそう呟くと、続が何かひらめいたように「まさか……」と、目を見開いた。
「な、なに?」
「これだけの場所を用意できて、すべての事を知っている人間が、1人だけいる」
続の言葉に、千鶴が呻き声を上げた。
聞きなくないと言うように、両耳を塞いだ。
「続、教えて?」
「……千鶴の父親だ」
その言葉に、千鶴の甲高い悲鳴が教室中に響き渡ったのだった……。
☆☆☆
お金もあって、すべての事実を知っている人物。
それに該当する人物は、千鶴の父親しかいなかった。
千鶴はリンちゃんが死んでしまったこと、自分が中心となってイジメていたこをすべて父親に話し、そして自殺という事にでっち上げてもらった。
父親だけは自分を裏切らない。
なんでも許してくれる。
昔からそうして来てくれたように……。
それが、裏目に出たのだ。
千鶴はやりすぎた。
人間1人の命を奪っておいて許す親なんていない。
千鶴がイジメをしていたことが公になっても、大した罪には問われないだろう。
だから、あえて千鶴の申し出を受け、《リプレイ》という形で罪を償わせることにしたのではないだろうか。
きっと、千鶴も同じ考えをしていたのだろう。
「あたしがここで死ねば、《リプレイ》は終わるかもしれない」
震えながらも千鶴はそう言ったのだ。
「ううん。きっと、あたしも死ぬ。この中でリンちゃんの死に全く加担していないのは、続だけだもん」
そう言って、あたしは疑問を覚えた。
リンちゃんの死に加担していないのは続だけ?
それならなぜ、続はここにいるんだろう?
そう思った瞬間、千鶴の額に×印が浮かんできた。
《それでは、制裁です》
その言葉とほぼ同時に額の×は膨れ上がり、あっという間にはじけ飛んだ。
パンッ!
と水風船が破裂するような音が響き、あたしの体に生ぬるい血しぶきがかかる。
その間には他のカ所にできた×印がどんどん爆発し、目の前は真っ赤な海になったのだった……。
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