第2話

死のうと思いたって、すぐ家を出た。

隣りの高層マンションまで行き14階までゆっくり階段を登ることにした。

どうせ死ぬんだから色々考えたって意味無いけど、やっぱり死の怖さを紛らわすためにくだらないことを色々考えてしまった。

「生きてれば良い事あるさ」みたいなことを言う人がいるけど、きっとそれは生まれた家が良い家だったからだとか、どれだけ子供の自殺者を減らそうと努力をしたって親がゴミだったら結局自殺者を減らそうとする努力自体は無駄なんじゃないかと思ったりと、いつもよりも不思議なことに頭がすごい回ってるのを感じた。

そんなどうでもいいことをタラタラ考えていたら14階にたどり着いた。

このくらい高さがあれば確実に死ねると思ったが、実際顔を出して覗いて見ると真下が全然見えないくらいの高さで足が震えた。

いざ顔を覗いたら死のうって思ってた気持ちよりも恐怖の方が勝ってた。

ただここまで来たのに怖くてひよってやめるなんてダサい話もないなとも思ったし、一旦家に戻って日を改めたらもう死ぬ事なんて出来ないと思った。

足の震えはもう止まらないと分かったから上半身で柵を越えて飛び降りた。

体が宙に出た頃にはもう足の震えも止まってた。

全然友達が出来なかったなとかもっとゲームとかしたかったなみたいな後悔がふつふつと浮かんで来た。意外と死ぬ間際の時間って体感で5分くらい長く感じた。

そして僕の体は地面強く打ち付けたのと同時に意識が薄れていった。

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死んだはずなのに目が覚めた。

周りには沢山の警察の人がいた。

そして目の前に自分の死体が横たわっていた。

やっぱり自分は死んだんだと実感した。

死んでるはずなのに何故か意識がはっきりとあるからもしかしたら幽霊になったのかもと思った。

警察の話を聞く限り死んだ翌日に幽霊になったみたいだ。

ただ幽霊になっても未練なんてないし、やりたいことなんて何1つとしてないから正直このまま死んだままで良かったのにと思った。

やることがある訳でもないけど、とりあえずいつものように惰性で大学に通っていたから、いつものように電車に乗って大学に行った。

大学でいつものように真ん中の席に座って講義を右耳から左耳に流した。

そして1つ気づいたのは幽霊になっても生きてた時も共通して誰にも存在を認識されてないのに気づいてやっぱり生きててもなんも変わんないだろうなって思って少し悲しくなった。

でも今僕は死んでて幽霊な訳だから講義中に大声を出したって誰にも聞こえないと思ったからめちゃくちゃ大きな声で、

「このくそハゲー!!!」

叫んでみた。

案の定誰にも聞こえてすらいなかった。

ただめちゃくちゃ大声で叫んだのもあって、誰かしらの反応すらないのは少し寂しくも感じた。

結局幽霊になっても大学では特にやることなくただただ適当に話をだけ右から左に流してたら5限の講義も終わった。

今の所生きてる時とほぼ同じ生活を日中を過ごしてる。

ただ少しだけ気になることがあって僕が死んだことによって今元家族はどんな感じなのかは少し気になった。

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何も無い世界に花束を @Nanase0503

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