再会②

 とりあえず座ろうと、ジロウが応接室と呼ぶ部屋へ、全員で移動することとなった。


 横長のテーブルを囲むように五人が椅子に着席すると、まず声を出したのはユウキだった。


「もしかして、顔見知りだった?」


 軽い口調は、わざと場を明るくするためだろうか。隣に座る侑子に向かって、笑顔を向ける。


「大丈夫。変な人達じゃないよ。リリーはここで契約してる歌歌い。エイマンさんは、リリーのパトロン? 恋人に昇格したんだっけ? まぁ、そんな関係の人だよ」


「ちょっとユウキ! 妙な紹介の仕方しないで。パトロンでも恋人でもないから。腐れ縁だから」


 遊色の瞳の女が、食い気味に訂正する。その隣のエイマンと呼ばれた青年は、満更でもなさそうに微笑を浮かべていた。


「……私がこの世界に来たときに、一番初めに会った人なの」


 強張っていた身体から、大分力が抜けてきた気がする。


 侑子は目の前に座るリリーの瞳を、凝視しない程度に観察した。既に遊色の瞳の人間は他にも目にしていたし、奇抜な格好の人々にも慣れてきた。

やはり不思議な目だと感じることには変わりないが、恐怖心は湧いてこなかった。


 彼女の低めの声が耳に心地良かったのと、ユウキに対して親しげな口調だったことが、大きかったのだろう。


「一番初め? じゃあ、ユーコちゃんが自分の部屋のドアを開けて繋がっていたっていうのは、リリーの家だったの?」


 目を丸くしたユウキとは対象的に、ジロウは明るく笑っている。


「なぁんだ。ツイてたじゃないかユーコちゃん。そりゃ話が早いぞ。リリーのパトロンのエイマンくんはな、政治家のはしくれだからな。透証の発行手続きなんて、ちょちょいのちょいだぜ」


「だからあ、パトロンは違うって!」


 説明させなさいよ! と続けるリリーは、自分とエイマンの関係を腐れ縁と再び訂正する。続けて咳払いを挟んで、侑子がドアを開けてやってきたところからの説明を、始めたのだった。

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