第8話 霹靂2 退屈

 入院生活が始まった。


 頭を起こすと血流が悪くなり病状が悪化するので、ベッドから頭は起こせない。

 寝ているだけのこれが実は中々に厳しい。だんだんと頭に血が上ってきて、なんとなく苦しいのだ。

 だがそれでも眼底出血の手術の後よりもまだマシである。眼底出血は出血部が完全に治るまで、その部分を目の中に入れた空気で抑える必要がある。結果として寝たきりに加えて寝返りも禁止となる。その結果、首の片側が凝ること凝ること。

 今回は寝返りを打てるだけまだマシである。


 しかし退屈だ。急な入院だったので暇をつぶすもの、つまりは本やタブレットの類は用意できなかった。

 仕方ない。テレビを見よう。

 ・・5秒で飽きた。長い間テレビは見てなかったが、いったい何だこの惨状は。

 面白い話一つできない芸能人が集まってお互いにヘラヘラ笑いながら傷の舐め合いを延々とやっているだけだ。あるチャネルに至っては韓国ドラマを延々と流す。いったいどこがいいんだこんな番組。


 処置室で寝ていると、事務担当の医者が電話を延々とかけている。その内容が途切れ途切れに聞こえてくる。

「ええ、余命一週間の患者さんなんですが、家に帰りたいと切望していまして」

 ひえええ。

 次の電話だ。

「もう透析を受けたくないと。このまま死なせて欲しいと」

 う~む。


 病院は恐ろしいところだ。退屈ぐらいで文句を言ってはいけない。

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