第2話:前線にて

第2話:前線にて


 さて、今日も一日覇業に勤しむとするかー。


 前線。

 で戦っている兵士たちの様子を見に来たのさ。

 しっかりやってれば労いの言葉をかけ、しっかりやってない時は督戦するのさ。きひひひ。

「リータ様、このような僻地に御来臨頂くとは、このブライアン、恐悦の極み!」

 前線の兵士たちの指揮官が、私の前にひざまずく。

 ブライアンはアルマジロ型獣人。

 防御力が高く、ちょっとやそっとの攻撃は効かないツワモノなのだ。

「うむ、ごくろう」

 私は上から目線で、ブライアンを見下ろす。

「しかし、てこずっておる様子だのう」

 陣を俯瞰すると、敵はいわゆるヒット&アウェイ戦法に出ており、防御力では勝るものの、移動力で負けてるこちら側は相手に翻弄されているようだった。

 ようするに足が遅いと。

「はっ…恐れながら、敵は結構戦いなれておりまして、我が軍はなかなか決め手に掛けるところもありまして…」

 ブライアンは急にしどろもどろになった。

 ま、私に追求されたら、当然、そうなるがねぇ。

「うむ、では今からその決め手を授ける」

「え…本当でございますか?」

「ウソを言っても仕方なかろう? それともなにかえ、私の言うことが信じられぬとでも?」

「滅相もございませぬ、決してその様な事は…」

 ブライアンは平伏して許しを請う。

「まあよい。最も簡単なのは、スピードを上げる魔法だな」

「あの“ヘースト”とかとか“バ○キルト”とかいう…?」

「愚か者め、“バイ○ルト”は攻撃力を上げる呪文ではないか」

「ああ、そうですね、やはり…」

「何をぶつくさ言っておる? ええい、うざったい!」

 私は段々面倒くさくなってきた。

「とにかく、敵を叩き潰せばいいんだろーッ」

 私が声を荒げると、

「はい、そです」

 ブライアンはますます縮こまって、平伏する。

「とりゃあーッ」

 私が叫ぶと、指先から幾条もの青い光が飛んだ。

 青い光は戦っているアルマジロ型獣人たちに次々と命中してゆく。

「あの、敵を叩き潰すのでは…?」

 ブライアンは顔を少し上げて、意見する。

「うるっさいね、何でも人を頼りにすな。てゆーか、覚えてろ、最初のやり取り」

「ははー申し訳ござりませぬ」

「加速の呪文を使ったから、時期に決着がつく」

 私が意味ありげに外を見やると、


 ばびゅーん


 戦っている兵士たちが倍速で敵を追い始めたのだった。

 狩の時間が開始された。

 結果ついては言うまでもない。

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