ドラゴンのウェントゥス
ファイャードラゴン改め赤髪の女性はクレアたちに穏やかな声で話しかけた。
「我が名はフランマ。ウェントゥスの守護者だ。ウェントゥスを愚かな人間から助けてくれた事感謝する」
クレアはメロディに助け起こされながら言った。
「いいえ、偉大なドラゴンよ。私たち人間がウェントゥスを捕まえようとした事は間違いないわ。ウェントゥスを怖がらせてしまってごめんなさい」
フランマはフッと笑ってから答えた。
「我は人間というものは、愚かでごう慢な者どもだと思っていた。だがお主たちのような心ねの者もいるのだな」
クレアはドラゴンの感謝の言葉に少し恥ずかしくなった。クレアのとなりのメロディがおずおずとフランマに言った。
「あ、あのフランマさん。ウェントゥスとお別れのあいさつをしてもいいですか?」
フランマはウェントゥスを見つめて両手を開いた。子ドラゴンはパタパタと背中の翼をはためかせ、メロディの腕の中に飛び込んだ。メロディは優しい声で、君はウェントゥスって言うんだね。と語りかけていた。
クレアも微笑んでウェントゥスの頭を優しく撫でて言った。
「ウェントゥス。怖かったね?もう守護者から離れてはだめよ?」
「ピィー」
メロディの腕の中のウェントゥスは、不服そうに鳴いた。ドラゴンの言葉がわからなくとも、鳴き声と表情でさっする事ができた。
フランマはポンと手を叩いてから言った。
「おお、その事だがな。ウェントゥスは人間にとても興味を持っておる。我の目を盗んでは人間のいる所に行ってしまうのだ。だからしばらくウェントゥスをお前たちの所で預かってくれまいか?」
フランマの言葉にクレアはカチリと固まってしまった。彼女は今何と言っただろうか。ウェントゥスを預かってほしいと言われたような気がする。子ドラゴンのウェントゥスを預かれば、またドラゴンハンターに狙われてしまうかもしれない。今回は何とか撃退できたが、次も勝てるとはかぎらない。
ウェントゥスを抱っこしたメロディは、ウェントゥスと一緒にいられるの?嬉しいと言って、素直に喜んでいる。これはまずい。このままでは子ドラゴンを預かる感じになっている。クレアは慌ててフランマに言った。
「もし、またウェントゥスを狙うドラゴンハンターがやってらきたらどうしましょう?」
「うむ。もしウェントゥスに危険がおよべば我がすぐ駆けつける。大船に乗った気でいるがよい」
クレアはぼう然とした。城下町に巨大なファイャードラゴンが現れてはたまらない。何としても自分たちでウェントゥスを守らなければと思った。
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